バックナンバー(1998.11)


 

(1998.11.1掲載)

同じことを悩んでる

 佐藤もミズノの選手だし、まあ練習ラウンド一緒に回ったり、ブリヂストンの時も袖ヶ浦で火曜日一緒に回って、ドライバーのシャフトのカウンターバランスのアドバイスをしたりした。もちろん彼にも勝ってもらいたい。

 彼だって腰痛を持ってて、やっぱり体調のいい時でしかがんばれない。春先なんて特に寒いから、ペースがつかめない、腰痛で8試合連続で棄権と予選落ちって言ってたけど、それを考えると、佐藤にもがんばってほしい。

 でも健夫は僕と同じ悩みを持ってるんだ。健夫より20ヤード飛ばないけど、同じ悩みを持ってるのが僕なんだ。ただし僕は、イップスっていうのは、克服したっていうふうに書いたよね。でもアプローチとかいう部分は、お互いに感性がなくなってる。

 だからブリヂストンの最終のプレーオフになる前の18番ホールでも、なんであんなグリーンの手前から転がるようなアプローチができなかったんだっていうふうに思うけど、あれは頭の中で距離感を考えざるを得ないんだね。

 例えばポケットの中にお金が入ってる。1万円札も千円札も両方ごちゃまぜで入ってる。で感性っていうのは、例えば、はいこれ3万5千円の買物ですよって言った瞬間に、ポケットに手を入れてそのお札を見ないで、手の感覚だけではい3万5千円ってぽっと渡せる。お札を見ないで、左手でポケットの中に入ってるお札を1枚2枚3枚、それから千円札を5枚、見ないで、すっと手で取ってぽっと渡す。はい3万5千円、それが3万5千円ぴったりなんだ。

 ところが今は、ポケットから出して、ちゃんと見て数えて、3万5千円あります、はい、って払う。今健夫も、僕も同じことを悩んでる。不思議なんだ、これがね。


(1998.11.2掲載)

話しかけてくるボール

 ジャンボは今年51歳だ。40歳で感性がなくなるっていっても、ジャンボは40歳代の中ですばらしいアプローチを何回もしてきた。じゃあ僕や健夫と何が違うんだ。努力が足らない? よくね、ジャンボほど練習してる人はいないとか、どうのこうのって言われる。でもそんなんじゃないよね。みんなやってんだよね。

 あの人だけが特別やってんじゃなくて、みんなやってる。いや、みんなとは言わない。やる人間はやってる。みんななんて言わないね。そんな失礼なことは。やる人間はやってる、やってない人間はやってない。でも少なくとも健夫にしても僕にしてもやってるんだ。

 でもあの人とは、感性っていうのが違うんだ。ジャンボとは僕達の感性は違う。どういうことかっていうと、じゃあ例えば、Aっていう人がガンになった。Bっていう人は健康だった。Aっていう人に、お前努力が足らないんだよ、普段の節制が悪いんだよって言える?

 個人差があるんだよね、人間っていうのは。ピアノ弾ける人にピアノ弾けない人バカにされる? バカにされないでしょ。ピアノっていうのは1つの才能なんだから。

 僕の場合は特に10代から20代にかけてのことなんだけど、これはね、おもしろいんだけど、ボールのところに行くでしょ。ティーショットをばーんと打って、そのボールのところに行くよね。そうすると、ボールがこうやって打ってほしいということを言うんだ。ボールが、このライからだったらこう打ってね、このライからだったらこう打ってって、自分に話しかけてくるんだ。

 ラフからでも、このラフでこの状況だったらこう打ってくださいねって。で、あっそう、なるほど!って答を教えてもらってる。要するにテスト受けるのに答をもらっていくようなもんだったんだ。

 だからみんながよく、ほぉ、すごい技術ですね、すごい技ですね、こういう攻め方をしてくるとは思わなかったですね、とよく言ってた。でもそうじゃないんだ。ボールから来るんだもん。こう打ってって。僕や健夫にはお互いにそういう独特の物があったんだよね。


(1998.11.3掲載)

いいかげんにしなさいよ、ほんとに(苦笑)

 世の中、永遠っていう言葉はないんだよね。永遠っていう現実はないんだ。スポーツの世界で、例えばカール・ルイスが9秒いくつでオリンピックで勝った。でも彼だっていつまでも9秒いくつで走れるわけじゃないわけだ。必ず落ちる時が来る。それは肉体的に落ちてくるか、感性が落ちてくるか、それとの戦いなんだね。

 ブリヂストンの初日、僕がトップに立って、健夫がいい刺激になったと言ってた。中島がトップに立っていい刺激になった、自分もやっぱり感じるところがあると。やはり悩み持ってるからね。

 でその時、ある新聞が、中間管理職が働かない会社はダメになる、なんて書いてたんだ。もうそれはその通りでしょう。中間管理職が働かない会社はダメになる。だけど、社長がダメなところもダメなんだ。社員がダメなところは、いちばん被害が少ないかも知れない。でもはっきり言えば全部そうなんだよね。全部が大事なんだ。

 まああえて書くけど、中間管理職? じゃあ中間管理職を何十年がんばればいいの? いいかげんにしなさいよ、ほんとに(苦笑)

 僕がゴルフデビューしたのは14歳。14歳の中学2年の時、小川宏ショーに出た。で高校生で日本パブリック選手権優勝して、日本アマに出て、17歳で日本オープンに出た。もうあと3年で30年だよね。30年もがんばってきて、中間管理職がんばれって、言われなくたってぐわぁむばるよ。もう巻き舌になっちゃうよ(苦笑)

 僕と健夫っていうのは、もうそこに目標があるんだ。がんばってねって言われるけど、がんばってないわけないじゃない。練習してないわけないじゃない。言わないだけなんだよね。

 健夫は腰痛で長尺パターしてるっていうけど、ほんとはイップスなんだ。彼がもし普通の左手の感覚を保っていられたら、80勝はしてるね。100勝にも手が届くかも知れない。

 まああとはいろんな女で失敗するとか(苦笑)、ギャンブルで失敗するとか(苦笑)、そういうことがない限り・・・でも歴史にればたらはないんだよね。


(1998.11.4掲載)

自分をみがく。それが大切

 健夫だけじゃなく、僕だってそう。アメリカ行ったり来たりで体壊さなければ、イップスにならなければ、もっと勝ってたさ。でも昨日も書いたけど、ればたらはないんだよね。

 で、はい、私は60歳越えました、70歳越えました、80歳越えました、いつガンになってもいいですよ・・・そういうもんでもないよね。いくつになったらもういいっていう、そういうもんじゃない。ずーとやってきたいわけだね。ずっとがんばりたいわけだ。

 そうね、世間のみんなはもう・・うん、もういいと思ってんじゃないの? 少なくとも一部の人は。でも、もう終わったよと思ってる人がいたとしても、僕はいいんだ。そんなことは気にしない。こないだ書いた親子のような人がいるうちはがんばらないとね。やっぱりね、がんばらなかったら、それはもう死んだも一緒だよね。

 健夫だってブリヂストンでは負けたけど、負けてすごいショックだと思う。せっかく勝てるチャンスで、九分九厘手にした優勝だったからね。それを佐藤のあの18番のバーディ2回続けて、それで負けちゃった。それはショックだ。立ち直れないかも知れないっていうふうに思ってる人がいるかも知れない。

 とんでもない。本人はなにくそ今度は勝ってやるって、そう思ってるんだ。あの16番で俺が取れなかった、あれが今回の敗因だ、考え方としてはしっかり2オンさせるぐらい持ってこいとか、こんだけパターが悪くたって優勝争いできるじゃないか、優勝も九分九厘手にしたじゃないか、もう1つみがきかけよう、そういうふうに思ってる。

 あるいはパッティング直せば楽勝だよっていうふうに思うか・・・それはどちらかわからない。たぶん健夫の場合だったら前者を選ぶだろうね。乗っけちまえば勝ちさって。そのほうが楽だと思うしね。

 まあ僕の場合は、健夫ほどの飛距離がないから全体をみがかないといけないけどね。でも飛距離があるかないかっていうのは、100億円持ってる人間が1兆円持ってる人間のことをうらやましがるのと一緒。もうこれこそ、目くそと鼻くその争いになっちゃうから、そんなことを比べるようなことはしない。それよりも自分をみがく。それが大切だよね。


(1998.11.5掲載)

納得しなかったらやりたくない

 今はとにかく、自分の内容を高くしていけばいいと思う。いかにしたらタッチが出るか。前に書いたよね、イップスって絶対技術的なことで直していけるって。手の震えはなくなったんだ。左手の震えは解消できたんだ。

 ということは、アプローチにしたって、絶対タッチっていうのは技術のことなんだ。精神の問題じゃないんだ。感性は鈍るかも知れない。でもその感性の衰えを補える技術が絶対あるはずなんだ。ただし少なからず左手のイップスの問題っていうのはアプローチにも当然入ってきてると思う。

 ただアプローチは、僕の独特のクロスサムグリップじゃできないから、普通のグリップで持たなければいけない。だから短いアプローチになればなるほど、やさしいアプローチになればなるほど、それが出やすいんだね。まあ気持ちを崖っぷちに持ってければ、かえって開き直れるんだけどね。中途半端にいい条件だとかえって出やすいんだ。まあこの問題を直すのは金融再生法案を作るよりは簡単だよ(笑)

 それはともかく、だいぶよくなったよ。だいぶよくなって四十何位じゃ困っちゃうんだけどさ(苦笑) でも、フィリップモリス4日間やってみて、右膝の問題っていうのがすごく直ってきた感じはあるね。

 やはりパッティングと同じように、はっきりした問題点っていうか、ある種のイップスっていうか、ショットに関してもそういう物っていうのを持ってたわけだから、それの原因と打開策・解決策、その2つを見つけられたことがすごくよかったね。

 で今、井上君っていうコーチに見てもらってるんだ。で、ほら、僕の場合は納得しないとやらないわけだから、井上君も、中島プロは頑固だから納得してもらうのに時間かかるって言ってたね(苦笑) でも今回だけはほんとうに納得しなかったらやりたくないっていう気持ちがあるんだ。


(1998.11.6掲載)

やり方教えてあげたいよ(笑)

 右膝だけど、やっぱり左足の使い方が問題だったんだっていうのがわかった。でそれを踏まえて先週4日間やって、右膝の悪い動きっていうのは3、4回しか出なかったね。まあ、4回あれば十分多いんだけど、その3、4回っていうのは、このまま打ったら絶対ダフるぞっていう使い方になっちゃてたんだけど、それがこううまく、あっこれだこの動き方だっていうのを感じたのが随分あったね。

 だからまあ、成績よりは随分納得のあるポイントがあったかなっていう、そういう試合だったかな。で、ブリヂストンの話から続けてるうちにアコムが始まっちゃったから、ちょっとその先週のフィリップモリスの話もしておこうかな。

 フィリップモリスは全部で90人ぐらいと、ちょっと少な目でやるんだ。あそこの試合っていうのは、毎年霧が出てくるんだ。スタートはアウトインにしてるんだけど、9時半ぐらいまで霧でスタートできないっていう状況が続くことがあるんだね。だから、人数的にはもう10人20人増やせられるんだけど、どうしてもその霧の危険性を考えないといけないんだね。

 今回もやっぱりプロアマが遅れたし、2日目も遅れたし、やっぱり危ないっていう感じがあるね。でもそれでも、ハーフターンでだいたい2組3組ぐらいは待たなければいけない感じかな。トミーカップのほうがよっぽど人数が多くてうまく回れてるよ。ほんとやり方教えてあげたいよ(笑)

 そうそう、初日に18番でイーグル取りました。フィリップモリスのコースっていうのは特に16番、17番、18番っていうのはおもしろいホールだね。16番っていうのは、はっきりいって寄りにくいホールっていうのかな。

 ちょうど馬の背があるんだけど、ティーグラウンドから見て、左から右に馬の背がある。左から右にっていうのは要するに馬が横に向いてる格好手前は手前に下ってるし、奧は奧に下っていく。だから奧に行ったボールはさーーと転がってっちゃう。なかなかあそこは寄りにくいグリーンだね。いっそのこと二段グリーンにしたほうがいいんじゃないかなって思うんだけどね。


(1998.11.7掲載)

例のPGAの問題

 今週の月曜日は東京に出てたんだ。ほら、あの例のPGAの問題でね。会議があったと。たいへんだねぇ〜。

 いちばんいいのはPGAがすんなり認めてくれればいちばんいいんだけどね。島田さんとかは決して、PGAを割ってみようという気持ちはないんだ。それがなんか知らないけど、悪いほうに悪いほうに考えてるというかね。

 いちばん最初、PGAツアー・オブ・ジャパンっていうのを作った時に、確認した事項なんだ。独立採算っていうことでやるってことは、その時に確認されてたことだし、まあその他、予選会、要するに試合に出るための予選会なんだから、その方法論っていうのかな、それを移してほしいっていうこととか、そういう、誰が見ても当たり前のことなんだけど、それをこちら側に移して欲しいということをノーと言われたと。

 そのPGAの問題はこれから関係各位が討論っていうか討議っていうか、議論をしていって、いろんな方向で決まっていくんじゃないかって思うんだけどね。

 やっぱりこういう改革っていうのは、当然議論もしなきゃいけないし、あせってはいけないけど、やっぱり早く進めなきゃいけないわけだね。それを5年10年かかったら、時代のニーズに合わないわけだよね。

 サッカーのJリーグのこともあるし、やっぱり早く対策を打っておかないと、やっぱり後で全部しわ寄せがくるという気もするしね。


(1998.11.8掲載)

いまはそれを待つしかない

 誰がどう考えたって、日本のツアーを1月2月にやるわけにはいかないよね。寒くてできない。そうなってくるとシーズンのスタートは3月末から4月になるよね。で、4月に、さあ始まったと思った瞬間にマスターズが始まるわけだ。

 さあちょうど波に乗ってきたと思った時に全米オープンがあるわけだ。でいちばんチャレンジしやすい7月の全英オープン、8月の全米プロからワールドシリーズまで、ほんのこのへんだけしか出れないわけだね。日本の中で考えると。

 だからやっぱりこれでツアー制度がもっともっと確立されてくると、日本のツアーに出られないからって海外へ出ていく、それこそアジアのツアーに出たり、オーストラリアのツアーに出たり、あるいはヨーロッパ、アメリカに向かってく若い選手がどんどんどんどん増えていくと思うんだ。

 それこそ本当に国境のない、ボーダーレスになっていって、このまま一生こっちで育っちゃおう、こっちで強くなっちゃおうっていうふうに思う選手が増えてきて、まったく違う形態のスターが出てくるんだろうね。いまはそれを待つしかない。

 それこそ地球が生まれて40何億年、50億年近く経つわけだ。地球が50億年前に地球として成り立つ前に、生命が発生する大きなポイントとして月が必要だったんだよね。40何億年前にジャイアントインパクトって言って、地球にものすごい大きな星がぶつかって、彗星なんて生やさしいもんじゃなくて、惑星がぶつかったんだね。

 そのぶつかったおかげで月ができたわけだ。で、その月の引力があるから、ものすごい猛毒の海の中で、潮の満ち引きができたり、雨が降ったり、その潮の満ち引きのおかげで有機物や酸素が海水にまざったりして、その条件の中で生命というものができてきたわけだよね。

 だから月がなかったら生命その物も誕生してないわけだ。でも月ができて、潮の満ち引きがあったりしても、それでも何十億年も待たなければ、人間にたどりつかなかった。いくら条件があったとしても待たなければいけなかったと。いまの日本のツアーはそれと同じかなと思うんだ。


(1998.11.9掲載)

ジャパニーズアメリカン

 地球の生命誕生と同じように、やはりボーダーレスで活躍できるそういう世代を、そういう時代っていうのかな、待たなければいけないだろうね。だから日本のツアーでがんばった有力選手がやれることっていうのはもう証明されたし、これ以上を望むのは、まず現在の形態を打ち破らない限りないだろうね。

 ジャンボも何度か優勝争いした。青木さんもハワイアンオープンに勝った。でも何度か本土で優勝争いしても、結局優勝までは届かなかった。むしろ台湾みたいに小さな国で、試合というものを海外に求めなければいけなかった陳志忠のほうが優勝する条件としてはよかったということだね。要するに日本より進んでたってことだよ。

 だから日本の場合、日本っていうツアーが確立されている限り、日本の中でやって、日本のトップになろうがなんだろうが、向こうのメジャーに行って、そのメジャーの優勝まで届くっていうことは無理。63ホール目まではだいじょぶ。63ホール目までは優勝争いできる。その最後が届かない。

 だからこれが今の形態から変わって、それこそいろんなとこで育ってきた、いろんなとこから競争を勝ち上がってきた日本の選手、国籍日本っていう選手が出てこないといけない。

 フィールドはワールドワイドだよ。それこそアメリカ人といっても、アフリカンもいれば、あるいはヨーロピアンもいるし、あるいはその他いろんな国のアメリカ人がいるわけだよね。

 それと同じように、アメリカ人であっても、ジャパニーズアメリカンみたいな、要するに日本の血を持ったアメリカ人というものが増えたり、日本人の血を持ったヨーロッパ人が出てきたり、そういうふうになってきて初めてまったく違う結果が出てくると思うんだ。


(1998.11.10掲載)

ワールドワイドな血

 アコムでは内田さんが見に来てくれてね、日曜日の朝来て、最終日だけだったけどついて回ってたね。だいぶよくなったよ、ゴルフは。スコアよりも内容がよくなった。アイアンのダフりだとかいろいろ言ってたけど、その原因と対策方法、それが強烈にこれだ!っていうのがわかったというか。

 いままではなんていうか、例えばアーチェリーで言うと、的には当たってるんだけどなかなか中心部分に当たってなかったっていう感じなんだよね。でもね、今度こそこれは中心だなっていう、これだっていう感じの打開策、見事にわかった。

 だからほんと後は自分自身の自信だろうね。それもってやっていって、やっぱり早く優勝争いの中に戻れればいいなっていう感じだね。なんとか日本シリーズに間に合わせたいけどねぇ(苦笑)

 さて昨日までの話の続きを。去年のマスターズチャンピオンタイガー・ウッズは誰でも知ってるよね。でアメリカ人のタイガー・ウッズが勝ったって思ってる。紙の上に出せば「1997年マスターズチャンピオンエルドリック・タイガー・ウッズ(USA)」ってなるわけだ。

 ところが彼の先祖はアフリカ人なんだ。それはわかるよね。しかもお母さんはタイの人だ。いろんな民族の血が混ざっているアメリカ人なんだね。で国籍はどこだって言われればアメリカ人ってなるかも知れない。

 でもそんなことじゃなくて、民族としての彼の、人間としての1つの生命体、人間という動物の1つの起源というのはワールドワイドだよね。要するにアフリカ人の血と、アジア人としての血と、それから先住民族の血と、いろんな血が混ざってる。

 それと同じように、例えば2035年のマスターズチャンピオン、仮の名前で言うとウィリアム・タケシ・フレンドリーでもなんでいいや。でもそこには(USA)って入るかも知れない。でもその彼の血の半分は日本から来てる、半分はアフリカの血を10分の1、20分の1引いたアメリカ人のお母さんと日本人のお父さんの子供かも知れない。そういうことが起こるかも知れないよね。


(1998.11.11掲載)

砂利道と高速道路ぐらい違う

 この西遊記で何回か書いたけど、三島にあるレストラン「たかの」に行ってまいりまして、またおいしいハンバーグを食べてきました。ほんとぜひ一度お寄りください。国道1号線沿いです。おいしいですよぉ。ワインも安いし。

 それはともかく、今週はグリーンめっちゃくちゃ速いよ。ある選手が、今年の御殿場のグリーンはひどいらしいよぉなんていうふうに言ってたんだけど、ほんとにひどかった。もう速いのなんの。ひどいというのは良すぎてひどい、止まらない。

 火曜日の練習ラウンドで、いきなり3メートルのバーディパットが、カップを10メートル過ぎて、グリーンを出ちゃったもん。それもしかも入るタッチでいったやつなんだ。やや下り目だからちょっと弱く打ったんだ。でカップに入りかけて、すっと2、3回転転がるぐらい、要するにカップを20センチぐらいオーバーのイメージでいったんだ。でそれがグリーン出ちゃった。いやぁ、これはマスターズだ。

 とんでもない、はっきりいって。こ〜れはどうするんだ?って感じ。すごいや。いやぁ、腕も頭もマスターズを忘れて、ようやく手が気持ちよく動くようになってきたのに、どうしてくれるんだぁ〜っていう感じでさぁ(苦笑)

 みなさんがわかりやすく考えるとすれば、通常のトーナメントを砂利道と考えてください。で太平洋マスターズのグリーンが高速道路だと思ってください。そのぐらいの違いがありますねぇ。

 先週も確かに早かった。硬くて早くていいグリーンだった。もうこのぐらいがいいかなっていう感じだったけど、今週ははっきりいって、too muchというか・・・なんていったらいいんでしょうねぇ。

 たぶん水曜日のプロアマでは、一緒に回るアマチュアの人はパニックになると思う。いやグリーンは止まるんだよ。さすがにグリーンはすばらしいコンディションだから、きっちり打ったボールは止まるし、アプローチも上手に打てば止まるんだけど、パターだけは速い。悪いグリーンは反対なんだね。ショットが止まらない、パターが行かない、これが悪いグリーンね。


(1998.11.12掲載)

こんな頭でどうするんだ?

 しっかしほんとに速いよ、今年の御殿場。最終の18番はまだいい。あれは平らな部分があるから。そうだなぁ、各ホールを紹介すると、

1番:おいおいおいおいおいおいどうしたんだ
2番:えっ?そんなはずはないじゃないの?(見た目よりもすごいってことね)
3番:ここにきてやっと、ふぅ落ちついた
4番:ここでも落ちついた
5番:乗る側によってはたいへんなことになっちゃうな
6番:まあいいや
7番:うん、これも速いと想像してた通り
8番:ここもいいでしょ
9番:うん、6、7、8と落ちついてこれました
10番:やっぱり速いよ
11番:うん、ここも一筋縄じゃいかないぞ
12番:うん、なんとなくほっとできる
13番:ここもなんとなく、あぁ落ちつかせてくれる
14番:そろそろ速くなってくるかな
15番:ここまで来るとどっちが上りでどっちが下りだかわからない
16番:平らに見えるのにもう傾斜があるように見える
17番:私の頭の中の平衡感覚はもう消えた
18番:こんな頭でどうするんだ?

っていうような感じだよ(苦笑)

 いやぁでもね、ショットよくなってるんだよ。いきますよぉ〜。だって、今までグリーンに乗らなかったものが乗るし、寄らなかったものが寄るようになってきたからね。それを考えればグリーンの速さなんて、もうウェルカムですよ。マスターズに11回出てるんだから、このグリーンの速さだってなんとかなります。

 やっぱり時期的なもんもあるんだ。この11月っていうのはグリーンを速くする上では最高のコンディションだからね。やはり10月っていうのは台風のシーズンでしょう。だからどうしても水分というのが多いから、グリーン自体が速くしきれない。

 そういう点では11月はめちゃくちゃ速くできるよね。しかも速くするっていうことは、トーナメントコース作りの最大かつ第一のテーマに置いてるような気がするんだね、このトーナメントは。だからすごく速いんだね。


(1998.11.13掲載)

仮設マクドナルド!?

 タイガーが再来週のカシオワールドに来るよね。それがねぇ、カシオワールドの指宿観光ホテルのところに仮設マクドナルドができるらしいんだ。チーズバーガーとダブルチーズバーガー食べるために、ウッズのために仮設マクドナルドができるらしい。

 これはね、すごいと思っちゃいけないんだ。さすがタイガーだぁ!なんて思ったら、おぉ〜間違い。なぜか? 考えてごらんなさいよ、日本人が向こうへ行って、米の飯がなければ力が出ないだの、食生活が合わないから日本食を持ってくだのって言った時に、そんなのは戦う前から負けてるなんて言ってた評論家の人達がいたよね。これをなんて言うわけ?

 タイガーがマクドナルドが欲しいって言って、カシオワールドに仮設マクドナルドができるっていうことを、一体彼ら評論家はなんて言うわけ? アメリカ人だって同じじゃない。

 今、日本でプレーしてるアメリカの選手だって、どれだけマクドナルドだとか、そういうファーストフードのハンバーガーショップに行くと思う? おびただしい回数行ってるんだ、彼らは。やはり、自分が育った食べ物っていうのはものすごく大切なもんなんだよね。

 しかしねぇすごいっていうか・・・でもさあ、仮にだよ、僕達がアメリカツアーに行って、どの試合でもいいや、宿舎の横に仮設天ぷら屋さんだ、仮設お寿司屋さんだ、仮設すき焼き屋さんだ、そんなものができてごらんよ・・・もうどれだけ差別受けたっていいや(苦笑)

 何百億も届こうとする契約金をもらえれば、百億だ二百億だ三百億だっていう契約金をもらえれば、差別受けてもいいっていう人はほんとたくさんいると思うね。


(1998.11.14掲載)

参勤交代じゃないんだから…

 タイガーの話を聞いた時の印象としては、なんだかなぁっていう感じだなぁ。そこまでやる?って感じだよね、実際。

 なんかさ、日本に来て1週間だよ。去年、タイガーインビテーショナルみたいなものでは来たけど、実際のトーナメントで来るわけだし、その1週間ぐらい日本の文化に接しようという感じはないのかねぇ。

 宿舎のほうも、指宿観光ホテルの13部屋を独占だって。タイガー御一行様。当然スイートでしょう。これ英語で言うとオフコースってやつですよ。あの歌うグループのオフコースじゃないよ。もちろんという意味のオフコースですからね。

 昔の、江戸時代の参勤交代の大名じゃないんだからさぁ。なんとかねぇ、せめてマーク・オメーラが来るぐらいおしとやかに来れないのかねぇ。なんか嵐が来るように来て嵐が去るように帰るんだろうね、きっと。でその宿泊施設の近くにあったマクドナルドはいったいなんだったんだろう?って感じになるんだろうね。

 でさらに聞いた話では、ギャランティが2億5000万円だ、3億円だっていう話なんだよね。僕が聞いたところによると、3億はいってないけど、2億以上って言ってた。なんか、はぁ〜〜って感じだねぇ。

 この金額、日本の賞金王より上なわけでしょ、2億いくらっていったら。カシオが確か全部で2億でしょ。賞金総額より大きいんだよ。すごいよねぇ。あまりにも桁がすごすぎるよね。


(1998.11.15掲載)

ベンツとセルシオ

 僕が乗ってるベンツはもう7万5000キロぐらい走ってるんだ。まあベンツだからエンジンとかそういう物っていうのは車としては10万キロでも平気なんだ。

 だけど、例えば買い替えるとしたら下取りに出すわけだ。その下取りの時に、10万キロなんていうと値段が下がるから、どうしようかな、今のうちに売っちゃったほうがいいのかなとか、いろんなこと考えたりするんだ。

 でもなぁ、他に車替えたって、ベンツに勝るっていうか、ベンツより実用性のある車はないし、でもベンツももうそろそろモデルチェンジしたし・・・今月現物が見れるというか、チェンジされるらしいね。で12月から発売らしいんだけど。

 まあでも、ベンツよりはトヨタのセルシオのカーナビ付きのほうがよっぽど実用性があっていいような気もするんだ。まあ他にもカーナビは付いてるんだけど、セルシオのカーナビは最高だと思う。信号待ちしてる間にセットできるから。

 こないだたまたまベンツでカーナビ付いてるやつがあったんだけど、まあそれは操作が慣れてないっていうせいもあるんだけど、ほんとにこう路肩っていうか、駐車場みたいなところに止まって、5、6分かかんないとできないっていう感じなんだ。

 やっぱり画面タッチは楽だね。画面にタッチして、検索もすごく簡単にできるし。やっぱりプロゴルファーってあっちこっち田舎行くから、どうしても地図が必要でしょ。やっぱりその地図のページを見ながらっていうのは、やっぱり止まったりしなきゃいけないし、わかりにくい。

 ところがカーナビで次の信号、なんとかの信号左折です、とか、どこどこを右折ですとか言われると、すごく安心してられるんだよね。


(1998.11.16掲載)

機械もたまに間違うんだなぁ

 カーナビといえば1つ欠点があるね。それは、カーナビ自体が最初に決めたルートに戻そう戻そうっていう動きがあるんだ。こちらはこちらでここの道は知ってるから、カーナビで設定された信号を曲がるよりも、例えば3つ4つ先の信号を曲がるとか、あの角を曲がるとか、知ってる道を行ったほうが早いんだってわかってるんだよね。

 ところがカーナビだと、例えば信号行き過ぎちゃったら、その元の道路に戻そうとするのよ。これはねやっぱり不思議な感じだね。やっぱり機械なんだな、融通がちょっと利きづらいのかなっていうのがちょっとあったね。

 それからもう1つ、最高におもしろかったのは、ある時、東京都内を走ってたんだけど、カーナビのルートはT字路を右折ってなってるんだ。ところが音声はT字路を左折って言ってる(苦笑)

 そんなバカなって思うでしょ。後にも先にもその1回だけだったんだけど、同乗者も、おいカーナビ左って言ってるぜって(笑) カーナビ左って言ってるけど、この赤いルート右だよなぁ。みんなも道知ってるんだ。だから絶対にそこは右に曲がるべきなんだけど、カーナビが左左って言ってるから、じゃ1回行ってみようかって左に曲がったんだ。で左に曲がった途端に再探索したら、ルートを表示しますってまた出てきたけどね。機械もたまに間違うんだなぁってふうに思ったね。

 カーナビっていうのは、要するに100%それを鵜呑みにするなっていうことだね。やっぱりいろんな勘を働かせて、人間の五感を働かせて、そのカーナビを手助けにしていったほうがいいよっていうことかなと。

 そういえばなんかセルシオは2年後にモデルチェンジするらしいね。でプレジデントが今年の12月ぐらいにマイナーチェンジがあると。まあいろんな車がけっこうモデルチェンジを少し、マイナーチェンジを含めてやってくみたい。まあでもほんとその前に、車を買えるようにがんばりましょう(苦笑)


(1998.11.17掲載)

富士山に泊まる!?

 いやぁ、太平洋マスターズはなんといったらいいか・・・。3日目は18ホールでパーが3ホールだけなんだ。8バーディ7ボギーで1アンダー。最終日は4バーディ2ボギーで2アンダーで、トータルはイーブンパーだった。だけど4日間で15バーディ1イーグル、それでトータルイーブンパーだからねぇ(苦笑)

 そういえば最終日、根本さんと厚木の小山さんが来てたよ。それと3日目4日目に内田さん。内田さんねぇ、ひどいんだわ。ひどいっていうのとちょっと違うんだけど、どこ泊まるの?って聞いたら、別に僕決めてないんですって言うんだ。で車の中にテント積んでるから、富士山にでも泊まろうと思ってって・・・富士山ってさぁ、人んちじゃないんだからそんな簡単にねぇ(苦笑) しかもこの11月のこの時期は寒いって。

 スポーツ振興っていうゴルフ場グループがあるでしょ。スポーツ振興グループっていうのは、春先にやるつるやなんかのトーナメントをやるゴルフ場持ってる会社なんだけど、その社員のための研修センターがあるんだ。ほんとに研修所なんだけどね。そこの所長っていうのはすごく瞑想が好きで、座禅だとか組んで、瞑想する人なんだけど、でそこにまあ前に泊まったことがあるんで、今回もお願いしますっていうことで泊めてもらったの。

 すごく静かで、もうほんとに夜なんかも僕と泉谷しか泊まってないんだ。そこでは自由に素振りしたりだとか、ストレッチしたりとかできるんだけど、内田さん泊まるところないの?僕別に取ってないです、じゃあ泊まりなよっていうことになってね。

 で研修所に着いたら、あっいいですよ、誰も泊まってないんで、どうぞどうぞっていうことで、泊まらせてもらって・・・みんなでおいしい馬刺を食べました(笑) あの人はなんかおもしろいねぇ。ほんとに変な人だよ(笑) 変っていうのは悪い意味じゃなくて、変じゃなくてユニークっていうのかな。

 でもあれだね。ほんと試合に来れない人は来れない人でしょうがないんだから、だから来れる人に、倍応援してあげてねと、自分の分まで応援してくれっていう思いを託して送り出しましょう。


(1998.11.18掲載)

いいスプーンが欲しいなぁ

 先週はスプーンでずいぶんミスした、勢いを止めてしまったっていう1週間だった。まあ詳しいことはまた後日書くけど、先週1週間というよりも、その前のアコムでも、もっとスプーンがうまく打ててればっていう状況がずいぶんあったんだ。いかんせんここ何試合スプーンがよくないなぁ。だからまあ今週はちょっと違うスプーン使ってみようかなぁと思ってるんだけどね。

 いま使ってるスプーンは日本オープンから使い始めたやつなんだ。その日本オープンの時でもそうだったなぁ。1番2番3番のミドルホールが基本的にはややアゲンストなんだけど、3番ホールでも本当はスプーンで打ちたいホールなんだけど、やはりアイアンでティーショットを打っていく。そういうふうにいったほうが無難だろうということでアイアンを持っていく。

 6番もそう。6番もどちらかというとスプーンで打ちたいんだけど、やはりアイアンを持ってく、アイアンで打ってってしまう。そういう感じで日本オープンの時にもスプーンでちょっと困ったというか。

 実際じゃあ、他にどういうスプーンがあるかって言われても、まあプロ仲間から、いろんなメーカーの知り合いのプロに打たせてもらったりするけど、やはり帯に短し襷に長しっていうところが実際あるよね。

 これだったらティーショットにはいいけどフェアウェイはきついねぇ、これはフェアウェイはいいけどティーショットだとちょっと物足りないねぇ・・・そういうようなのばかりだねぇ。

 まあたぶん今週も13番ホールだとか、あるいはアウトの8番だとか、スプーンで打つホールっていうのはけっこうあるんだ。ましてけっこうっていうか、8番にしても13番にしても重要なホールになってくるよね。

 やっぱりそこで1つ伸ばせるか、あるいは1つ落としてしまうか。そういう差がついてしまうホールだからどうしてもいいスプーンっていうのが欲しいなぁっていうのが、いま頭の中をかけめぐってるね。


(1998.11.19掲載)

苦手ホールの克服

 太平洋マスターズはなんといっても初日のダボが痛かったねぇ。その初日のダボ2つっていうのは、1つは17番のショートホール。まあ大の苦手としていたホールなんだけど、それが解決できたんだ。

 あそこへ行くといつも、ティーグラウンドの基本的に真ん中付近からピンを狙っていくんだけど、風が右から、ピンが12時の方向とするとだいたい2時ぐらいの方向から8時ぐらいの方向に風が吹き抜けてる感じなんだ。でどうにもこうにも、ティーグラウンド立った時点であんまりうまく打てる気がしにくいホールなんだよね。

 ホール自体は打ち下ろしで、まあお椀をひっくり返したようなグリーンで、確かに難易度高いホールなんだけど、ちょっと気持ちを変えて、ティーグラウンドのいちばん左目に立って、真ん中を狙って風とケンカさせるように打ったんだ。

 それまでどちらかというとグリーンの右端を狙って風に乗せて、そのボールが帰ってくるようにっていうようなイメージだった。だけどグリーンの真ん中がおまんじゅう型だから、基本的に右から風が来てて、仮にグリーンのてっぺんより左にキャリーしたら、風に流れてきたボールだったら左のエッジまで落っこちてきちゃうわけだね。で帰って来なければ右のグラスバンカーに入るし、どちらにしてもグリーン上に止まりやすいボールは打てないんだね。

 まあよほどいいショットをすればそれは関係ないわけだけど、それにはやはり打ち下ろしの中でピンまで190ヤードぐらいのショートホールで、だいたい2、3メートルの幅で距離と方向をしっかりと合わせられないと乗らないっていう状況になるわけだ。

 だから逆に左に立って風とケンカさせるようなボールを打ったら、まあその後がうまくいったというか。3日目はバーディで最終日はパーだったね。あっこれだったらまずこなせるかなぁっていう、そんなような感じで17番の打開策は見つかったんだ。


(1998.11.20掲載)

いかんなぁ〜

 もう1つのダボ8。8番はスプーンでティーショットを打っていくホールなんだ。左から若干のフォロー。だいたい7時から1時ぐらいの方向。セカンドショットは8時から2時ぐらいの方向にフォローの風が吹いてるんだけど、真ん中より左に行くと、左の林が出てるんだ。

 だいたい120〜130ヤード付近にずいぶん左側の杉の林が出てきてるんだよね。でそれがジャマになっちゃう。だから真ん中より右に打つ。まあ右のラフでもOKですよっていうようなホールなんだけど、そこをスプーンで打った時に、左目のフェアウェイに行っちゃったんだ。

 でピンがグリーンの左奧で、どうしてもその木を越えるか、右からフックなんだけど、左後ろからフォローの風が吹いてるから、なかなかフックをかけきれないっていう状況なんだね。だからどうしてもその林の上を越えようっていうその選択をするっていうか、そういうふうなチョイスになる。

 だいたいプロがそこにいったら8割9割はそのショットを選ぶっていう状況になっちゃうね。でそこで、8番アイアン持って高い球打ってったんだけど、もうほんとに最後のいちばんの上の枝のてっぺんのほうにばーんと当たって、もう物の見事に林の奧深くに入っていっちゃったんだ。もうとても出られないっていうような状況に入っちゃった。

 7番でバーディ取ってトータル1アンダーまで戻ってきてるのに、なんというか、いかんなぁ〜っていう感じだったね。でそこから出して4オンして2パットのダボなんだけど、やはり、ここんとこスプーンのショットっていうのかな、スプーンというクラブ自体の問題もあるんだけど、スプーンがいまいち自分が思う球筋と、あるいは思う結果と合わないっていうところがあるんだよね。


(1998.11.21掲載)

手応えより曲がる

 昨日書いた8番のダボにしても、結果的にスプーンが真ん中より右に打ててればもっと優位にピンに対して攻められるのに、ちょっと左に行ってしまった。なんでその左に行ってしまったかというと、自分でまっすぐ行ったなぁと思う当たりはちょいと右に流れるんだ、スプーンだと。

 要するにストレートだという手応えがフェードになるし、フェードの手応えがスライスになっちゃう。5番ホールっていうのがスプーンでティーショット打つホールなんだけど、3日目、スプーンで右の林に入って、でボギーになってる。

 6番のロングホール。フェアウェイのど真ん中に打って、これがいいところで、余裕を持ってスプーンだったら十分池を越えるだろうっていうところ、まあむしろ大きめになるからややフェードでもいいというところだったんだ。

 ピンまで235ヤードぐらいの打ち下ろしで、右からアゲンスト。そういう状況の中で打っていって、フェードがスライスになる。スライスというかフェードが強くなっちゃうんだろうね。それが右のOBからのアゲンストに対して風とケンカしてるから、結果的に池を越えるのにあと50センチ足りなくて池の中。結局2オン狙いのロングホールがボギーなんだ。どういうわけか。そういうこともあった。

 初日インコースからスタートして、インコースを2アンダーでいって、アウトコースに折り返した。1番ホール右からのアゲンストの中で、ここもやっぱりティーショットスプーンでいった。どちらかというと左サイドはあんまりよくないから、真ん中からやや右サイドを狙って打ったボールが、これがまた右にプッシュアウトで林の中。そのピンの位置を考えると、1番ホールは比較的難易度としては難しくないホールなんだけど、右の林に入ってボギー。

 結局先週、スプーンはずっとこんな感じだったんだ。


(1998.11.22掲載)

スプーンというクラブ

 スプーンっていうクラブは、実際問題その14本あるクラブのうち、まあパター抜いて13本の中で、ある意味でいちばん難しいクラブだね。ウッドを3本持ってる人はいいと思うんだ。ドライバー・スプーン・バッフィとか、そういうふうに持ってる人っていうのは、例えばスプーンをティーショット用のクラブとして使う。でフェアウェイで打つ場合には、状況がよければそれで打つし、悪ければバッフィを使う、というようなセッティングしている人は、スプーンはどうでもいいわけ。

 どうでもいいといったらおかしいけど、どっちかに特定できると。言い換えればティーアップして使うクラブとして考えられるんだけど、ところが2本しかウッドを持たないプレーヤー、だいたいツアーの選手の7割以上、75%から80%の選手は2本で設定してる。ドライバーとスプーン。

 そうするとドライバーの次にスプーンを使う場合に、ティーショットでもいってほしい、でもフェアウェイからもいってほしい、要するに両方で使えるクラブであってほしいわけだね。そうなってくると、なかなか難しい。

 じゃあそれをどういうふうにいちばん使いやすいクラブとして考えるか。どちらに目的を置くか。フェアウェイを主眼に考えるんだったらフェアウェイで使うことを考えるんだけど、実際問題ショートホール抜いた14ホールを、全部ドライバーで打てるコースっていうのはありえないよね。だからフェアウェイだけを考えるわけにはいかないんだね。


(1998.11.23掲載)

日影の身となるスプーン

 トーナメントやってる中では、ドライバーで打つホール、スプーンで打つホール、場合によってはアイアンで打つホールもある。前回の太平洋で言えば、15番ホールなんていうのはみんなアイアンで打つ。まあ飛ばし屋だとだいたい2番アイアンとか1番アイアンとか、そういうクラブで打ってくる人が多い。

 だからそういうふうに考えると、スプーンというのは使い手にしてもたいへんで、リクエストが多いけど、作り手にしてみれば、オールマイティ、両方で使えるクラブを作るっていうのはほんと難しいよね。

 時代の流れでドライバーっていうのは非常に研究が進んでる。ドライバーっていうのはやっぱりゴルフ商品の中でいちばんの売れ筋であるし、アマチュアにしてもプロにしてもその重きを置くというのかな。

 まあ当然ゲームになってくるから、パターっていうのも大事なことであるけれど、そのグリーンまでに関して言えば、ティーショットに使うドライバーっていうのはものすごくみんな注意するよね。

 で科学力もあるいは開発費もそこに費やされるけど、スプーンというのはどちらかというとそれに追随してくるものであって、日影の身になりやすいよね。だから各社とも頭の痛いところじゃないかなぁというふうに思うけどね。


(1998.11.24掲載)

太平洋の18番大成功

 今年の太平洋マスターズの18番は大成功だった。初日はティーショットがフェアウェイで、4番アイアンでピンの右奧4メートルぐらいにつけてイーグル。

 2日目、そこまで4オーバーで来てた。でティーショットチーピンして左の林。もうさすがに力入ってね。そこから6番アイアンで出して、サードが103ヤードかな。ピンは左奧、段の下。でPSでディボット跡から打って奧3メートルぐらいにつけて入れてバーディで予選ギリギリセーフ(苦笑)

 3日目がドライバーでフェアウェイ真ん中に打った。ピンは左奧の段の上。セカンド4番アイアンでグリーンど真ん中の段のすぐ下にキャリーして、段上りかけて戻ってきて、で2パットのバーディ。距離はそうだねぇ、10メートル近くあったのかな。

 最終日はティーショットでバンカー越え狙ってったんだ。左の、どちらかというフェアウェイよりのバンカー、要するに左のバンカーの右サイドいっぱいぐらいだね。ですっごくいい当たりだったんだ。あと50センチぐらいでキャリーで越えた。

 でその50センチの距離で越えると、あとはダウンヒルだから、たぶんセカンド7番アイアンか8番アイアンぐらいで打てたと思うんだ。でそのバンカーのちょうど角っこにどん!と入って、砂をまき散らして出てったから、セミラフまでしかいかなかったんだ。バンカーを越えて、少し下って、セミラフの途中で止まってたと。

 でセカンドがフロントエッジまで178ヤードぐらいかな。前下がりで左下がりだからあんまり無理できない。ピンなんか狙ったら池に入っちゃうからね。で6番アイアンでグリーンの左のエッジのところに持っていって、そこからエッジがちょっと離れてたんだけど、そこからPSで打って2メートルぐらい。入れてバーディ。

 だからあそこだけで、4日間で5アンダーだったんだ。なかなかいいできだったねぇ。


(1998.11.25掲載)

杉原さんのアドバイス

 今年はスイングの中では右膝が気になることが多い。杉原さんとたまには技術的な話もするんだけど、そのスイングの、まあ大きなもん、ドライバーと、6番アイアン以下はよくなったけど、スプーンと2番アイアンっていうのかな、2番3番ぐらいがまだあんまりよく打てないんだ、なんて話をしたら、それはちょっといけないな、こうやったらもっとよく打てるんじゃないかとか、そういうようなアドバイスをもらったりするんだよね。

 そのアドバイス、スタート前にくれたりするから、ラウンド中にやらなきゃいけなくなっちゃうんだ(苦笑) どっちかっていったら、終わったらところで言ってくれれば、練習でそれをやって、コースでやるんだけど、ラウンド終わって練習場でこれだ!これを明日やってみよう!と思ってるのに、朝必ずそれが、いや・・・やっぱこっちかな?っていう感じになるんだ(苦笑)

 やり直しちゃうというか。だからその前の晩につかんだっていうか、発見したことのやり方を変えればこっちのほうがよくできるじゃないかってなっちゃう。要するに同じことをやろうとしてるんだよ。同じことをやろうとしてるんだけど、やり方としてこっちのほうがいいんじゃないかとか、やり方の問題っていうかな。

 そういうふうにちょっと変えちゃうところがあったね。だからそこでこうちょっと、あぁ自分はやっぱり意外と流されやすい性格だな、なんて思ったりもするんだけどね。流されやすいっていうか、自分自身でもいろいろ考えちゃってるから、こっちのほうがいいんじゃないかっていうふうに考えてやってしまうというか、好奇心旺盛っていうか、なんか発見が好きというかね(苦笑)

 あっ、ぜんぜん話は変わるけど、みなさん、かまぼこパターのほうが絶対いいよ。パター苦手な人は特に。あえて声を大にして言っておくけどお薦めです。


(1998.11.26掲載)

今週楽しみ!

 フェニックスは・・・よかったっていうのが正解かなぁ。ただ大きな転機だったね。転換期というか。ですごいことを発見したよ。まあスイングでずいぶん言ったけど、まあパターではイップスがどうのこうのっていうのが去年とか春先とかあったよね。で今年ずっと言い続けてたのは右膝がうまく動かないというのがあって、それが完全にこれだ!っていうのがわかったんだ。

 井上君ってコーチがずっとついてるっていうのは言ってるけど、ずっとまあ見てて、特別に今回は違うという状況になったわけだよね。それでフェニックスの最終日なんかもほんとにいいゴルフしてたんだ。特に最終日、風の強さもさることながら、方向もちょくちょくちょくちょく変わって、難しい状況ではあったんだけどね。

 まあだから最終日、基本的には上のほうも伸びてなかったよね。まあ何人かの選手は伸びたけど。

 でアウト1番2番・・・3番でバーディ取って、4、5、6とまずまずうまくいって、7番フェアウェイど真ん中打って、でロングホール取れなかったんだ、その7番のロングね。

 8番普通はスプーンで打つホールなんだけど、風が向き変わってて、ドライバーで打つ日に変わってたんだ。その日は。でドライバーでフェアウェイ真ん中打って、残り110ヤードちょっとかなぁ。PSかピッチングか、PSでいいだろっていう感じだったんだけど、風が完全に違ってたね。でそれが手応え、打った感じ、はい1ピンOK!って感じだったんだ。1ピン以内でしょう!!っていう感じ。もう間違っても1ピン以内ですよ、と。それが10メートルぐらいショートしたんだ(苦笑)

 グリーン上行ったらぜんぜん風が違ったのね。で結局3パットでボギー打って、まあ最終日ちょっと選んだパターが、自分が思ってるラインより右に打ってたから、あれ?っていう感じはちょっとあったんだけど、そこで3パットのボギー打っちゃって、であとずっとバーディ取れずに来て、16番でボギー打っちゃったんだ。

 まあそれはいいんだけど、ショットの内容が4日間の中でいちばんよかったんだ。特に、初日終わって、それを発見できたっていうのか、2日目からほんとに少しずつ少しずつ手応えが確信に変わるっていう中で、いいゴルフができたなぁっていうのがあったね。

 でまあ今回、井上君もそのままこっちに流れてきたんだけど、練習見ながら、やっぱり正解だなぁっていう感じがあったんだ。だからほんとにそういう意味では今週楽しみにしてるんだ。


(1998.11.27掲載)

ただのミーハー

 東京は寒いそうだけど、こっちは寒くないね。先週の宮崎は寒かったけど鹿児島はあったかいねぇ。天気もいいし。ただ火山灰がすごいわ。だって回ってたら、足が真っ白だったもんね、火山灰で。だからなんか咳が出てね。元々虚弱体質で咳が出やすいから、困っちゃうよ。

 今年は例年のカシオに比べるとグリーンがすごく悪いね。夏場の天候不順があったんだろうけど、えっ?って感じぐらい悪いんだ。これはちょっと、えっ?ほんとにトーナメントやるグリーンなの?っていうぐらい、あれぇ〜?って感じなんだ。

 そういえばあいかわらずタイガーの周りはバブルだよ。だってね、カシオの指宿のゴルフ場のサッカーグラウンドなんだけど、ドライバーで打てば楽に届くような距離にあるんだよね。そのサッカーグラウンドにヘリコプターで降りて、そのドライバーで楽勝で届く距離を、強烈なリムジンかなんかの車で迎えに行ったらしい。なんでそこだけバブルなんだろうなぁ。

 そうそう、タイガーと言えば、練習ラウンドの火曜日、まあ朝練習して、ハーフラウンドやって、さらに終わった後練習したんだけど、ちょうどタイガーが来てて、レジストレーションっていう受付、要するに選手登録の時に一緒になったんだ。やあタイガー元気?って言ったら、あれトミー元気ぃ?って感じなんだ。

 あれぇタイガーと何回も会ったっけ?・・・そんなに会ってないんだ、彼とは。たぶん1、2回しか会ってないんだけど、よく覚えてた。日本人って不思議だよね。その覚えてるだけでうれしくなっちゃうというか(笑) なぁんだ僕もただのミーハーな男じゃないかと思ったんだけどね。

 まあでも相変わらず屈託がなくて、やっぱりいろんな話聞いても、去年のエキシビジョンマッチっていうのは楽しかったけど本心じゃなかった、やっぱり日本の試合に出たかったっていうのを彼は言ってたし、まあそういうことだろうなというふうに僕も思ったけどね。


(1998.11.28掲載)

タイガーの話あれこれ

 タイガーが宿泊してる部屋の前では24時間ボディガードがいるらしい。ある関係者の話によると、マーク・オメーラがIMGの人に、普通にしてやれって、そのほうがタイガーも喜ぶぞ、というようなことを言ったらしい。だから要するにマーク・オメーラ達や他の選手が来るのと同じようにしてやれって言ってるのに、どういうわけかタイガーの周りだけすごいんだよね。

 練習ラウンドの日、練習場の一角の隅のほうで連続写真を撮ってたんだ。ここだけ連続写真を撮るっていう場所があったんだけど、取材陣の数が、A班、B班、C班って分かれてて、しかもカメラマン達が全員ゼッケンをつけてるんだ。

 思わず、えぇ〜?って感じだったね。いやぁすごい光景だったよ。報道陣の人が60人ぐらいいたのかなぁ。ギャラリーがついてないで、報道陣の人でいっぱいになるというのもすごいことだけどね。さすがにすごい。

 マクドナルドの話もおもしろいことがあって、タイガーが食べたい物のリクエストっていうのは、マクドナルドっていうんじゃなくて、ハンバーガー食べたいなぁっていう話をしてたらしいんだ。それをたまたま地元の鹿児島のマクドナルドに話をもっていったら、マクドナルドとしては基本的にお店の外で作れないっていうことだったらしいんだ。

 要するに社内の決まりがあるじゃない。要するに社内規定みたいな。それで作れないと。それを日本マクドナルド社が聞きつけて、いやいやとんでもない、ちょっと行って作りなさいっていうことで、話が動き始めたらしいんだ。しかも基本的に彼オンリー、彼というか彼らオンリーで、他の選手いないんだね。

 っていうことは、こないだも書いたけど、この同じ状況を向こうに持ってった場合、日本選手が、自分専用のお寿司屋さんとか自分専用の天ぷら屋さんを連れてるような状況だよね。いやぁすごいなぁ。


(1998.11.29掲載)

サインペンを持つ大事さ

 そういえばオメーラといえば感心したことがあるんだ。オメーラのキャディのテリーというのがいるんだけど、このテリーは僕がアメリカに行ってた時にもキャディをしてくれた人なんだ。まあ楽しい思いで話がいっぱいあるんだけどね。

 で、確か太平洋マスターズの2日目だったか3日目だったかに、チャリティトーナメントやるんでオメーラにサインボールくれないかって頼んだのね。そしたら彼らはサインペンを持ってるんだ。バッグに必ず。

 サインくれない?あっいいよ、いくつ?って言って、するするっとバッグからサインペン出してさっとサインしてくれた。自分がサインペン持ってるということはその分手間が省けるんだよね。サインをする物を出してくれば、それでサインができちゃう。

 それをサインする物渡されて、サインペン渡されて、ふた取ってサインして渡すってことしてると、それだけ手間がかかるわけだね。サインペンを持つ大事さ。服につけたりとかしてペンを持ってれば、バイザーなり手帳なりに、さっとサインができる。それで時間を短縮できれば、その分練習の時間も取れる。

 アメリカなんかへ行くと、自分が何かをしなければならないとき意外は基本的にサインOKだね。スタート時間が迫ってるとか、ティーグラウンドに向かう時とか、ラウンド終わって何か差し迫ってることがあるとか、あるいは精神集中してる時、コンセントレーションを高めてる時以外は彼らは必ずサインしてくるんだよね。ただし、exeptタイガー・ウッズだけどね(笑)

 まあそのオメーラを見て、僕もサインペンを持って歩こうって思ったね。


(1998.11.30掲載)

沖縄は好きだよ

 日本全国のお薦めの店とか書いてるけど、そういえば沖縄はないね。沖縄は、行ったらいつも万座ビーチホテルに泊まって、そこから出ないんだ。一歩も出ない。

 その万座ビーチホテルっていうのは、全日空の関係で、確か全日空の資本が少し入ってるんじゃないかな。でそこの安田さんっていう社長さんがいらっしゃったんだけど、この社長さんと随分親しくさせてもらって、沖縄行ったら他へ泊まるなんてこと考えられないって感じだったんだ。

 例年、大京オープンに出るっていうこともないしねぇ。やっぱり自分の気持ちの中で、日本シリーズが最終戦っていうのが常にやっぱりあるんだよね。

 アメリカによく行ってた頃っていうのは、どうしても12月ぐらいにいろんな仕事っていうのがあって、こなしきれないぐらいの仕事がたまってるから、日本シリーズが終わってから全部こなしても、ギリギリ12月の27、28日に終わるって感じだったんだ。

 シーズン中やっぱりアメリカ行ったり日本に帰ってきたりとか、もう行ったり来たりしてるから、いろんな仕事が全部その1週間からあるんだよね。いろんな仕事って言ったら変だね。プロゴルファーはゴルフが仕事なんだけど、やはりそれなりにやっぱりいろいろあるんだよね。それで大京っていうのは縁が遠かったねぇ。

 沖縄はね、僕は好きなんだよ、はっきり言って。沖縄は嫌いだから行かないっていうことじゃないの。なんとなくそういう流れでこうなっちゃったっていうかね。