バックナンバー(1998.10)


 

(1998.10.1掲載)

どっちに転んでもだいじょぶ

 日本のツアーにおいて、現在のプロテストが撤廃されて、PGAは、もう試合の出場に関することはPGAツアーにまかせるというふうになってくれると、いろいろな方法が考えられるんだけどね。

 ほんとはPGAツアーを設立する時にそれをうたってるわけだから、PGAから独立、要するにPGA傘下ではあるけれど、トーナメント部門として独立する時に基本的にはそれをうたってあるわけなんだよね。金銭的なこととかいろんなことを含めて。それを実行してないのが今の問題点なんだね。

 だからそれをまかせてくれれば、ひょっとしたら、例えば星野君だとか、まあ星野君だけを試合に出すわけじゃないけど、要するに優秀な若い学生や研修生達が、ひょっとして推薦で試合に出て、そこで優勝争いして優勝したり、あるいはファンの人に強烈なインパクトを与えて、スター街道を上っていくようなことが起こるかも知れない。

 でもPGAが、いや絶対に離さないよ、このシステムは変えないよって言うんだったら、彼らは同じように大化けする、要するにスター街道を上がっていくような方法を海外で取るかも知れない。もうこれはどっちに転んでもだいじょうぶだなって思ってるんだ。生命っていうそのものの強さが、人間の強さがそこに出てくるはずだからね。

 話は今年のプロテストに戻るけど、最年長は36歳で合格。そのうち50歳ぐらいでも通る人が出てくると思うんだ。やっぱりこれだけ道具が進歩してるというのがあるよね。例えばいままでだと40歳っていう声を聞いたら引退じゃないかって言われてたことがあるけど、やっぱり道具の進歩で選手の寿命が伸びてるよね。


(1998.10.2掲載)

ふわふわ、ふわふわっていう…

 ここのところ、特に不満に思ってることがあるんだ。それはアドレスした時に、地面から力をもらえなかったんだよね。これね、不思議なもんで、職業でスポーツやってる人じゃないとわからないかも知れないけど、大地から力をもらえるんだ。

 例えばお相撲さん見てもそうだと思う。相撲っていう競技を見てても、こないだちょうど千秋楽見てたんだけど、やはりほんとに強い人っていうのは、足が地面についてるというか、ほんとに根が生えたように力強いよね。で負けてしまう人っていうのはなんかこう根がないというか、非常に地から足が離れやすいというか、そういう違いっていうのがあるよね。

 やっぱりゴルフも同じで、構えてスイングする、その最初から最後まで、アドレスする段階からなんだけど、やはり大地から力をもらえるかもらえないかっていうのはものすごく大きなポイントなんだ。

 それがここのところずーーとずっと、構えた時にふわふわ、ふわふわっていうような、アドレスの浮遊感みたいなものがあって、ほんとにもう空中浮遊してるんじゃないかっていう、なんかそんなような感じがしてたんだ。だけどようやく、あっこれだったら力をもらえるわっていう、そんなようなアドレスっていうのができるようになったね。

 それはただ単に技術的なもんじゃないんだ。技術的なものだけじゃなくて、まあもちろん技術的なことがメインではあるんだけど、やはり体の痛みと共存してくっていうか、それを補強していくっていうことを言い始めて、それがずいぶん自分の身になってきたところがあるんだ。

 その土台、土台っていうのかな、自分の体の技術とか、気持ちだとかっていうのは入れ物だよね。入れ物を少し補強してきたからそういうことができるようになったのかなとも思ってるんだけどね。


(1998.10.3掲載)

こりゃあたいへんだわ

 この西遊記の件で清水さんと電話で打ち合わせしてたんだけど、いつもと声が違うって言われたんだ。いやぁ、ちょっと大人になったんじゃないかなぁ。うん、変声期だと思うよ(笑) やっぱり僕もそろそろそういう年齢になってきたから、ようやく子供の体から大人の体になれたっていう感じだねぇ(笑)

 それはともかく、別に風邪ひいてるわけでもないし・・・たぶん原因は親不知だね。右の親不知をちょっと治療したんだ。まだ抜いてはいないんだけどね。

 右の奥歯の親不知がちょっと先週痛かったんだ。しょうがないから正露丸詰めてプレーしてたんだけど、虫歯じゃないからダメだね(苦笑) しかもまっじいんだ、あれが(苦笑) でもまあ確かにちょっと効く。ほんのちょっとはいいね。

 僕の右の親不知っていうのはすごく大きくて、下向いて生えてるんだ。斜め下向いて生えてる感じかな。ちょうど、時計の針で正面が12時とするよね。12時が正面としたら9時が、口の中側に向かって、真ん中に向かって真横だとするよね。それで例えると、8時半ぐらいの方向に向かって生えてくるんだ。

 治療に行った時も先生が見て、こりゃあたいへんだわとか言っててね。こりゃあもう手術ですねっていう感じなんだ。で12月に抜こうっていう話になってる。とにかくオフになったら抜きましょうと。とてもこれは今抜いてどうのこうのというレベルじゃないですっていう感じらしいよ。


(1998.10.4掲載)

日本の未来

 僕はスポーツの世界は50歳でシニアでいいと思ってるんだけど、アメリカシニアツアーすごいよね。あれはなんなんだろ。アーウィンは2億何千万円? もう3億円近いんだよね。

 日本のツアー、日本の賞金が高いなんて言ってられないじゃない(苦笑) 日本の賞金なんて低い部類になっちゃうね。来年はもっと下がるっていう話だし。

 でもアメリカの景気もいつまで保つかねぇ。でまた、税金が安いんだからいいよね。ほんと天国だね。日本だと億稼いで、いまだと50%ぐらいの税率でしょ。それにプラス市県民税だから、どっちにしても半分以上は持っていかれる。

 しかし国もいよいよ困ってるんだね。こないだ新聞に載ってたけど、学校の学食とかいろんな設備に固定資産税をつけるって書いてあった。ほんとにいよいよ税金なくなってきたんじゃないかと心配しちゃうね。税金っていうか公的資金というか。

 いやぁほんとにその政策っていうか、方策っていうかあるのかねぇ、国は。公約として減税するって言ってたけど、減税するんだったら減税するで、ちゃんとしたそれに付随する政策を持ってないと、これはもうとんでもないことだよね。

 なんでも反対っていうような野党も困るけど、なんでもかんでもその場しのぎっていう与党も困っちゃうよね。なんとかこの際、もう全政党一致協力して、ほんとに日本の未来の政策を作っていってほしいね。そういう党とか枠組みとかを越えてさ、こうしろと。まあ、そうやってはいるんだろうけどね。


(1998.10.5掲載)

高齢化社会

 これからの日本のいちばんの問題点。いちばんじゃないけど大きな問題点っていうのは、どんどんどんどん高齢化が進んでいくわけだよね。その高齢化した人達、それこそ働けなくなった人達にたいして、若者達がどういうふうにフォローできるか。働ける年齢が働けない人達をどうフォローしていくか。

 それっていうのは、やっぱりある程度の不平不満っていうのはついてくると思うんだ。きれいごとじゃなくてね。でもそこの先に希望が見えるか見えないか。要するにただ取られてくんじゃなくて、やはりそういう働けない人達を働ける人達がカバーしていく先にこういう光があるんだよっていう、そういう透明感がないと、なんか取られるっていう気持ちになっちゃうよね。

 取られるんじゃなくて、出すっていう気持ちにならないといけない。出していくと。こちらから出すのと取られるのは違うわけだからね。それには、もうちょっと透明感がないと出しにくいよね。

 確か、いま50歳に近い人は年金の恩恵を受けれるんだよね。でも今の僕の年齢より下の人は確実に年金の恩恵を受けられないっていうんだ。ちょうど僕の年齢が危ないところ、ぎりぎりのところなんだね。そういうことも含めて考えていかないといけないよね。

 それからもう1つ。年をとってから、やっぱり生き甲斐がないと、ほんと生きる屍になっちゃう。何か自分が生き甲斐とすることができないといけない。それっていうのはやっぱり考えておく必要があるだろうね。

 それはサツキでもいいし、藤の木でもいいし、要するにガーデニング系統でもいいし、あるいは登山でもいいし、あるいは絵を描くことでもいいし、なんでもいいと思うんだ。でもその自分はこれをやりたいっていうものを持っておかないと、なんかつまんなくなっちゃうだろうなっていう気がするんだ。


(1998.10.6掲載)

イエスかノーか

 今年はプロテストとワッツの話が多いけど・・・またワッツの話(苦笑) オン・ザ・グリーンのホームページにワッツのメッセージが掲載されたっていうんで探したんだけど見つからなかったんだ。どこにあるんだろ。

 それはともかくとして、ブライアン・ワッツに限らず、外国人、アメリカの選手って言ったほうがいいかな、彼らというのはやっぱり日本人よりもはるかに、思考回路っていうのが短略的という感じがするんだ。もちろんいい意味でだよ。

 向こうはやっぱりYes or Noだから、日本人が独特に持ってる玉虫色の言葉っていうか、そうだねぇ、政治家の答弁でいうと「前向きに善処します」みたいな、そういう言葉じゃないよね。イエスかノーか。基本的には白か黒か。

 こないだのクリントン大統領のコメント、不適切な関係がどうこうっていうあれは見事に灰色だけどね。アメリカにしてはめずらしくイエスかノーかじゃなくて、ノーと言いながらイエスと言ってるような、独特の灰色のコメントだったけど、基本的にはないよね。一般の生活の中では特にない。

 ところが日本の社会っていうのは灰色の部分を使いやすいよね。「それはこちらでもそう思ってたところなんですよ」とか、「それはそういうふうに対処するように考えてみます」という感じで。こういう言葉というのは、別にやりますって言ってるわけじゃない。

 あれ?やるって言いませんでしたっけ?って言うと、いやあの時にそれはいい考えだから、こちらも前向きに対処しますっていうふうに、考えますっていうふうには言いましたけど、やるとは言ってませんって逃げられるわけだね。


(1998.10.7掲載)

成長させてくれるポイント

 プレーしてる最中、行き場のない怒りが出た時に、例えば日本のプレーヤーだったら2メートル3メートルをお先にってぽんっとやってはずしちゃった、もう2パットでも3パットでも4パットでもどうでもいいやと、バンカーなんかでもピッチングウェッジとかで、まいいやいいやこれで打っちゃえ、ボンッと打ってるかも知れない。

 それを、バンカーの中からスプーンでフルショットすれば問題だろうけど、サンドウェッジのところをピッチングウェッジで打ったって、極端に言えばわからないわけだよね。要するに昨日書いた日本独特の灰色の部分。

 ところがそれをやっぱりスプーンでバカーンとワッツが打っちゃったっていうのが、イエスとノーの国の人間なんだなっていうふうにちょっと思ったね。だからやってはいけないことだけど、彼らなりによい方法だったんだろうなっていう感じかな。

 まあほんと、あの一件でワッツもなんていうか、いい意味で成長したろうし、やっぱり忍耐っていうものがどれだけ大事かっていうこともわかったと思うんだ。だから全英オープンでも耐えられたと思うんだ。言い換えればフジサンケイのあの事件があったから、全英での忍耐ができたんじゃないかなっていう気がするんだよね。失敗なり困難なりが、人間を大きく成長させてくれるポイントだね。

 全英の賞金で欧米のシードが取れたわけだけど、ファンは彼のプレーを見たいだろうし、僕達もワッツの春先と全英とそして今とっていう、プレーの中身っていうのを見てみたいね。

 失敗が成長させてくれるんだから、安心して困難に立ち向かっていけばいいんだしね。だけど困難長いなぁ。困難がこんなんに長いと思わなかった・・・ってくだらないシャレ言ってる場合じゃないな(苦笑)


(1998.10.8掲載)

パットが半分もいかない

 今週はお休みです。やっぱ無理(苦笑) 日曜日まで試合やって、月火、プロアマとトミーカップやったらねぇ。特にトミーカップは今年の最終戦だし、やっぱりみんな気合い入れてくるわけじゃない。やっぱり僕もいいかげんに、おちゃら気でやりたくないしね。一生懸命やりたいし。

 そうするとやっぱり疲労っていうのがあるよねぇ。ましてや日本オープンの後でこれがあるから、ちょっと無理だなと。日本オープンの後って考えると、ほんとそれだけでも休みたいぐらいなんだよね。体を休めたいっていうのが正直なとこだね。

 さて日本オープンの話をしよう。初日はやっぱりすごい雨だったんだ。丸山が大会のほうに言ったっていうのも、まあ、気持ちはわかるけどね。

 1番ホール、ティーショット打って、フェアウェイからセカンドを6番アイアンで打って、噛んで、要するにややダフって、グリーンに乗っただけだったんだ。でピンが右奧。グリーンは、もうローラーで一生懸命水は掃いてるんだよ。20メートルぐらいあったパットかなぁ。水は掃き出してるんだけど、そのファーストパット打ったら、半分もいかなかった(苦笑)

 それでその次のパットを、もうパターじゃなくてアプローチで、グリーンの上から8番アイアンでぽーんと上げて、それで水たまりを越えていって、で1メートルぐらいにつけて入れてボギーだったんだ。

 そういう出だしだったから、中止っていうか、どこで中断になって、どこで中止になるのかなぁっていう気持ちはあったよね。ただ、そういうふうに思ってプレーしていくと、どんどんどんどん悪くなっていっちゃうから、絶対にこれ中止にならないぞって自分の気持ちの中に言い聞かせて、2番からまた回っていったんだけどね。


(1998.10.9掲載)

4オーバー内訳

 日本オープン初日、1番ホールでボギー、で5番ホールでダボだったんだ。5番ホール、右からアゲンストだったんだ。ティーショット真ん中からドローかかって、ちょっと左のラフにかかったんだよね。

 でも左のラフにかかってても、今年の日本オープンは幸いなことにラフはそれほど深くなかった。普通のトーナメント、そうだねぇ、サントリーオープンのほうがまだ深かったって感じだね。当然大洗でそこまで深くされたら、もうどうにもならないゴルフになっちゃうけど、まあ大洗のコースレイアウト考えたら、このぐらいのラフで日本オープン十分っていうラフはラフだったんだ。

 で左のそのラフにちょっと入った、1ピンも行かない、1メートル半ぐらいフェアウェイから入っただけなんだけど、ライがちょっと浮いてたんだ。このぐらいのラフだったらラッキーっていうふうに思ったんだけど、やはりいかんせん濡れてるよね、芝生が。

 セカンド、4番アイアンで打った時、これが噛んだというか、手前から入って、やっぱり濡れてる芝だから強烈にフェイスが返っちゃうわけだね。で左の林に入っちゃった。であとは出すだけ。で4オンして1ピン半ぐらいあったかなぁ。それはずしてダボになって4オーバーなったんだよね。

 8番ホールのショートでまたトラブルだったんだ。アイアンが悪くてね。でも20メートルぐらいのパット入れてパーだったんだよね。よし、これでなんとか切り抜けていこうという感じでずーといって、1つバーディがあって、17番ホールでティーショットをスプーンで打って、右のラフに行って、でそっから左の崖下にアイアンひっかけて落として、でボギーなんだ。

 でまた4オーバーになっちゃったんだ。でも17番、4日間のうち2日間フェアウェイだったからね、それでも。残りの2日間は右のラフだったね。


(1998.10.10掲載)

思い切ったスイングができるか?

 やっぱり大洗はよかったよ、コースは。全体的なスコアを見ると5番ホールがあまりよくなかったみたいだね。まあ5番も確かに難しいことは難しいけど、僕は4日間で、2回フェアウェイ、2回ラフ。でもラフっていってもちょっと入ったところで、全部成功したと言っていいね。

 ただここんとこアイアンショットがちょっとよくないんだ。で初日5番ホール、アイアンショットをダフってひっかけて、セカンドを左の林に入れてしまって、それでダボ。で残りの3日間は全部パーだったんだけど、初日のダボがよくなかったね。

 5番ホールは得意不得意があるかも知れない。そういう点では僕は5番はそんなに嫌いじゃない。むしろやっぱり昨日も書いた17番ホールのほうが嫌いだねぇ。やっぱり16番17番18番ホールっていうのは難関だわ。16、17、18の上がり3ホールで4日間で6オーバーだし。やっぱりあそこをうまく切り抜けていかないと優勝はないね。

 特に日本オープンとか、大洗でやる試合に関して言うと、16、17、18をパーで上がれる実力がしっかりとないと、やっぱり優勝には届かないだろうね。今回ジャンボなんかでも、相当16、17、18で損してると思うよ。

 18番ホールは、一見ティーショットはバンカーの右端ぐらいにフェードボールを打ちたいんだけど、右の林の恐さを知ってると、逆に左のトラブルにつかまっちゃうんだ。バンカーに入らなくても、あの左に行くととてもグリーンを狙えるようなショットは打てないんだよね。だからほんとにバンカー、あるいはフェアウェイの中央狙って、無心というか、思い切ってスイングできないとダメだね。

 僕が今回はフェアウェイ2回、右ラフ1回、で3日目左のラフに入れちゃった。ラフというのも、ラフもラフ、けっこうひどく深い、左の端のほうのラフに入っちゃった。

 そうやって考えてみると、4日間毎ホール回るわけだよね。1番だったら1番を4日間回らなきゃいけない。2番も4日間回らなきゃいけない。そういうふうに考えていくと、4日間のうち3日間はいいところにティーショット打てるかな。もちろん4日間全部よく打ったところもあるけどね。


(1998.10.11掲載)

取った時のうれしさ

 日本オープンでプレーしてても、非常にティーショットの安定性っていうのはよくなってきたね。なんていうかティーショットを打った段階では非常にオッケー!って感じなんだけど、アイアンのジャストミートがないっていうのが問題かなぁ。

 まあそういう点では課題がしっかり見えたからまたがんばるよ、来週。今週はお休みしたけど、来週の日経カップ出るから。

 日本オープンは3日間終わった段階で意外とスコア伸びてたけど、僕が3日目回った感じではやっぱり5アンダーで勝ちだと思った。で直道君が3日目終わった段階で5アンダーだったんだよね。でもやっぱり日本オープンっていうのは、守りにいくとほんとに難しい試合だね。

 だからやっぱり・・・直道君も攻めていくべきだったんだろうね。だけどそれを攻めさせてくれないのがまた日本オープンなんだ。やはり最終日、コースとの戦いに勝てばよかったんだろうなぁって思うね。

 直道君はまだ日本オープンに勝ったことがないわけだけど、周りがそういうふうに思って決めつけると、なんかそういうイメージ入りやすくなる。本人もそういう、なんかおかしいなぁっていうふうになりやすいけど、やっぱりマーク・オメーラの例もあるし、まだまだわからないよ。

 直道君も力のある選手なんだから、もう今年逃したら来年から勝てないよっていうことはない。やっぱりアメリカツアーで何年もシード取り続けてる選手なんだから、まだまだこれからだね。逆に言えば、日本オープンっていうのはそれだけ苦労するし、だからこそ取った時のうれしさを考えるとがんばれるよね。


(1998.10.12掲載)

トミーカッププロアマ流血事件

 最近なんか練正館行ってなくて、あんまりインターネット見れないのが悔しくて悔しくてねぇ。そういえば電話きちんと使えるようになったらしい。ほんとみんないろいろと協力してくれて、こちら側もあちら側もがんばったみたいだね。内田さんもよくやってくれたし。

 そういえば内田さん、こないだのトミーカップにも手伝いに来てくれて、こっちもよくやってくれたよ、ほんと。清水さんの分もがんばってくれたってところかな(笑) まあでも、内田さんの家が近いこともあって、泉谷とかイサク達も頼みやすいみたいだね。

 そうそう思い出した。内田さん、トミーカップ前日のプロアマに出たんです。それがさ、いやぁ、傑作な話があって、トミーカップの後に夕飯食べた時も笑い話だったんだけど、内田さん唇を切ったんだ。

 それがさ、唇を切った原因っていうのがね・・・プロアマではバックティから打ったんだ。で、五浦の17番ホールは、220ヤード打たないと池を越さないんだ。その時、何も聞いてないのにキャディさんが、220ヤード打たないと池を越えませんからねって言ったらしいんだ。その一言で、もう渾身のフルショットしたらしいのね。

 そしたらダウンスイングで、ボールに対して入ってくるクラブが、とんでもないところから入ってきたんだって。やばい!と思って、そっからグワーっともう、ものすごい、もう地球を動かそうというぐらい力入れたら、ブチッと唇を切ったらしいんだ(笑)

 だから、言ったんだよね。220ヤードって聞いて、そんだけ力みかえる人のほうが恥ずかしい、情けないよなぁって(苦笑) 220ヤードごときでそこまで力む?って(苦笑)

 いやぁ、彼には悪いけどけっこう笑えた。スコアのほうもレディースに負けるしで、けっこうショックだったらしいよ(苦笑)


(1998.10.13掲載)

6回トミーカップ

 先週の試合、見てないんだ。日曜日はちょっと練習行ってたりして見てなかったんだよね。あまりにも今週無責任だなぁ。無責任な中島プロですな。いかんですなこういうことでは(苦笑)

 3日目でトップだったのは今野君だね。去年のトミーカップの優勝者だね。トミーカップに勝つとけっこういいんだ。佐藤剛平君だとか、今野君だとかね。けっこう活躍するんだよね。

 で先週そのトミーカップがあったわけだけど、なかなかよかったね。今年いちおう最終戦になるんで、まあけっこうみんなハイレベルというかね。優勝は67で橋本日都君っていう、まあ少し年齢がいってる選手だったんだけど、まあ他も全体のレベルが上がってて、73までしか賞金は出なかった。1オーバーまでしか。

 ティーグラウンドいちばん奧、まあ15番のショートホール以外はけっこう奧を使ったんだけど、ピンの位置が若干やさしいところに切ってあったからね。そういう点ではピンを前後左右にふったっていうわけじゃないから、まあ5アンダーぐらいかな67、8が優勝ラインかなというふうに思ったんだけど、まあいちおうその通りというかね。僕は68で回って、ベストアマが中島常実選手2アンダーってところかな。

 当日はまた一緒に智春君と回ったんだ。彼、粘り出てきたよ。ゴルフがけっこう粘っこくなってきたというかね。けっこう、あっこれはボギーになるなっていう感じでもパーを取ってくるというか。

 アプローチとパッティングとトラブルのリカバリーがよくなってきた。ただやっぱりティーショットがいまいち目玉がないというか、そこんとこだけだったね、課題と言えば。


(1998.10.14掲載)

ちょっともったいなかったね

 智春君とトミーカップで一緒に回った時、13番終わって1アンダーだったんだ。1アンダーと言っても、惜しいのが、例えば、もうライン上でカップの淵で止まっちゃうっていうのもあったし、カップなめて出ちゃうっていうのもあったんだ。

 そういう点ではもったいないながらも13番まで1アンダーで来てたんだけど、14番ですっごくいいドライバー打ったんだね。ややフォローだったんだけど、330ヤードぐらい飛んだんじゃないかな。340ヤードぐらい行ってたかも知れないねぇ。

 でグリーン手前50〜60ヤードのところのバンカーに入ったんだ。それがちょっと運が悪いというか、スタンスがちょっと普通に取れない、ちょっとスタンス取りにくいところに入っちゃって、しかもライがあんまりよくなかったんだ。

 で最初PSかなんかでクリーンに打とうというイメージあったんだけど、ちょっとクラブを変更して9番アイアンでランニングに変更したんだ。それがアゴに当たって出なくて、でしかも今度はアゴに近かったから、出すだけになっちゃった。

 まあ、そこから乗ったけど1ピン以上はずして、ダボになっちゃったんだよね。でそれでオーバーパーになったんだ。今回はパープレーでも3万円ちょっとの賞金出たんで、ちょっともったいなかったね。


(1998.10.15掲載)

経験を楽しんでほしい

 智春君についてもうちょっとだけ。昨日書いた14番ホール以外に、それより前のホールでもミスショットはあるんだ。でもミスをミスとしなくなったところがよくなってきたところだね。逆に言えば、ナイスショットをミスにしてしまうっていうのはよくないよね。

 わかるよね。ミスショットをミスとしてスコアに出していかない。要するにリカバリーのうまさ。でもナイスショットをミスショットにしてしまうのは、プランニングが悪いわけだね。そこんところが問題だなと。

 それはなぜかっていうと、ティーショットの目玉をしっかりと持ったほうがいいし、それがないから、たまに曲がる球を怖がらなきゃいけない。まっすぐ行ったナイスショットとのギャップが大きすぎるっていうかな。そういう点をちょっと感じたね。

 でもまあ粘りが非常に出てるっていうのは、なぜかっていうとやっぱりアジアに出たりとか海外にけっこうチャレンジしてるよね。アメリカじゃないけど。要するにアジア地区ではあるけれど、やっぱり試合の中でもまれてきたっていうか、ポイントがわかってきたのかなっていうのがちょっとあるね。

 だからほんとに彼の場合、経験を積みながら、やっぱりその・・・目指すというか、経験を楽しむっていうことがいちばんだろうね。そして経験の中でどんどんどんどん自分が脱皮していくことを喜んでやってったほうがいいね。


(1998.10.16掲載)

米山選手の弱点

 こないだゴルフ雑誌に日本オープンに優勝した時のキスしてる写真が掲載されてた。まあ、専売特許みたいな感じだったね。トレードマークというか。もうお決まりのセレモニーというかな。ようやったね。日本オープンといい、フェニックスといいね。いやぁでもなんか最近照れがあるからね。そんな人前でできるか!っていう感じで。人が見てないところでもしなくなってるのに、ほんとにもう(苦笑)

 そういえば先週米山ががんばってたんだけど、ほんとね、勝っても不思議じゃないんだよね。こないだ田中秀道がジュンクラシックの時に、ドローしか打てない一流選手がいるかぁ!っていうふうにジャンボに怒られたらしいけど、まぁあえて言えば、米山選手の弱点はドローを打てないところだろうね。

 今までよりもはるかに力のあるフェードを打てるようになったんだ。でも、18ホール回る中で、必ずドローが必要なホールってのはあるわけだね。だからやっぱりその時にドローが打てないと、やはり困ってしまう場面があるわけ。

 例えば・・・うーん、みんながわかりそうなホール・・・うーーーん・・・こうやって思い出しても、そんなに簡単にふっと出てくるホールは少ないなぁ。実際問題は少ないことは少ないんだけど、やっぱり打てたほうが絶対にいい。

 例えばフジサンケイの12番のロング。トーナメントの12番のロングね。あそこだったらフェードよりドローのほうがいいわけだし、14番なんかも左からアゲンストが来てる時は、やはりフェードじゃなくて、木からドローが打てたりとか、そういうふうにドローが必要なホール、それが打てたらもっと楽なのにっていうホールがあるんだね。

 だから、それが彼の1つのポイントかも知れない。それができたらはるかに攻めやすくなる。だからいま随分いいパワーフェードっていうか、力の強いフェードを打てるようになってきて、それで上位に入る。間違いないことは間違いないんだ。

 上位にくるようなった回数は当然増える。で優勝っていったときに、じゃあもう1つ来いっていったときに、そのドローが打てたらもっと来やすくなるのになぁ、っていうところがちょっとあるね。


(1998.10.17掲載)

克服してくれるのを望む

 米山君の場合、昨日書いたようなあたりが今年のオフの課題になるんじゃないかな。いま井上君というコーチがついてて、だいぶいいボールが打てるようになったから、そんな中で今年なぜ優勝まで届かなかったのかっていうふうに彼が考えた時に、当然その問題も突き当たると思うんだ。その時に、じゃあどういうふうにそれを乗り越えていくのかっていうことを考えていかなきゃいけないと思うんだよね。

 例えばフェードボールで有名なのリー・トレビノだよね。それとかブルース・リツキーみたいな選手が有名だけど、2人とも、打つ気になればドロー打てるんだ。特にトレビノはドローも打ってってる。基本的にはフェード打ってくんだけど、ドローも打っちゃう。

 でリツキーは、オーガスタみたいに、ドローが極端に必要とされるゴルフ場になってくると、もう出ないと。自分はメジャートーナメントに出る、あのピリピリとした雰囲気はやだからメジャートーナメントその物に出ないと決めちゃう人間なんだね。

 僕はリツキーと何回か回ったことがあるんだ。いちばん最初プロになった時に、太平洋マスターズに来た時に、御殿場で回ったこともあるし。あれは確か僕が結婚した年だから1977年の最終日に一緒に回ったんだけど、その時に何ホールか、2、3ホールドロー打ってたんで、あっドローだって思ったのが記憶に残ってるんだ。

 だからそのへんが、ただ単にフェードしか打てないっていう選手じゃないんだよね、2人とも。だから米山君も、そのへんをなんとか克服してくれるのを望むけどね。

 彼が日本オープンベストアマ取ったのは、戸塚カントリーであった日本オープンだったんだよね。確かあの年だったと思うんだけど。でその年チャンピオンになったのが僕だったんだ。2位タイに青木さんとジャンボがいて、で表彰式にいった時に、米山選手がいたような気がするんだけどね。


(1998.10.18掲載)

やれったって無理

 ダンヒルカップ日本チームは予選敗退してしまったわけだけど、アメリカなんてデーリーオメーラ、それからウッズでしょ。やっぱりこんな面子を揃えてくるんだもんね。

 例えば日本で言えばさ、今現時点で言えば丸山、それからジャンボ、それから直道とか、とにかくそういうすごい面子を揃えてくるわけじゃない。それはやっぱり無理だよね。にもまして英語圏で、セントアンドリュースのあのリンクスだ。それはやっぱりそんな甘いもんじゃない。

 だいたいこの時期にあるってこと自体で、やっぱり有力選手が行けない。特にアメリカはもうメインの試合が終わってるし、だから海外の選手に、特にアメリカツアーの選手にとっては出やすいよね。またヨーロッパツアーの選手にとっても出やすい。

 そういう状況の中で、有力選手が出やすい状況の中で、しかもダンヒルカップの次の週はワールドマッチプレーが、ましてイギリスでまたあるわけでしょ。ってことは、そのマッチプレーの練習になるのか、あるいはダンヒルカップの後にマッチプレーがあるっていう、どっちがメインになるのかは彼らの気持ちの中であるんだろうけど、要するにそれをメインにすることができるわけだね。

 だけど片方、さあこれから、これからが大舞台だと。そんな状況で、時差があり、あるいは帰ってきて疲れを取る暇もない中でやれったって無理だって(苦笑)

 言い換えれば、じゃあマスターズの後にダンヒルカップやワールドマッチプレーを持ってこれますか?と。全英オープンの前や後に持ってこれますかと。絶対無理でしょう。それができないっていうのは、彼らもそれがどれだけしんどいか知ってるわけだね。


(1998.10.19掲載)

秋のほうが難しい

 また残念でした(涙) いや僕のクラブはさびついてないからだいじょぶ。とにかくまた今度がんばります。

 いやぁしかし・・・けっこうつらいもんですよ。うん、けっこうつらいもんです(苦笑) 2日目はノーバーディで・・・初日は3バーディの4ボギー。3パットが4回あったんだけど、ちょっと多いなぁ。でも今回、グリーン確かに早かった。

 日経カップはいつも夏場にあったから、今まであそこのコースは夏場にしかプレーしてない。で、夏場の記憶しかないんだけど、秋のほうが難しいみたいだね。

 イメージちょっと、グリーンが早くできるし、あそこのゴルフ場のコースのグリーンっていうのはけっこうアンジュレーションきついんだ。だからグリーン上が非常に夏より難しくなるというのかなぁ。夏のほうがもう少しグリーンが遅く感じるね。

 で秋はやっぱり台風のシーズンでもあるし、風が強いっていうこともあるから、やっぱり難しさっていうのは秋のほうがあるね。そういう点ではいままでよりもすごくいいトーナメントに感じるようになったね。

 今回優勝した日下部選手がイーグル取ったロングは、左のバンカーの右から、アプローチで入れたよね。僕も去年か一昨年の日経カップの時に、ちょうど同じような位置からチップインのイーグル取ったことがあるんだけど、比較的あそこからは、グリーンオーバーするよりもやさしい。

 グリーンオーバーしたアプローチをするよりも、あそこからのアプローチのほうが距離感とかラインとか出しやすいね。ただし最終日は、あのすごい風で、突風みたいな台風の風だからそんなにやさしくはないんだけど、オーバーよりはちょっと寄せやすいかなっていうアプローチだったね。

 しかしよかったよね。今回活躍した2人がワールドカップ行くっていうんで、なんかこう日本としてもよかったなぁと。


(1998.10.20掲載)

不幸中の幸い

 今日ね、誕生日なんだ。44。誕生日だから、ワインをちょっと2、3本設定してあるんだ。どのワイン飲むかっていうのはまだ決めてないんだけど、何年の何々とかまた報告するね。

 10月生まれっていうのは、ほんと世話が焼けるというか、手がかかるというか、そういうところがあるね。そういえば泉谷君の彼女も誕生日10月だし、うちの長女も10月6日。わりと10月生まれって多いね。

 それはさておき、ここのところ予選落ちが多いんだよね。そうするとまあ、トーナメントやる前の意識っていうのが、そうだねぇ・・・やはり慎重になるところも若干多くなるね。それは要するにプレーがいまいち守りに入ってしまうところもなくはないと。

 だから例えば今度やるブリヂストン袖ヶ浦だけど、2番の右ドッグレッグのロングホールっていうのは、風によっては林越えに打っていって、ミドルアイアン・ショートアイアンで打てるケースもあるんだ。でも恐らく初日、2日はそっち狙わないんじゃないかっていうようなね。要するに、ちょっとこう固くいくところが、気持ち感じられるかも知れないね。

 ただ、もう1つ考え方でね、今年棄権は別にして、9試合予選落っこちてるんだけど、やっぱりその分トレーニングする時間が多くなって、体作りにはいいかなっていうのが1つあるね。僕としては不幸中の幸いっていうふうに考えてるんだけど。ほんと走ったり、いろいろ自分のやろうとしてるメニューっていうのかな、体作りにはいい時間が与えられてるね。

 いままではやっぱり年間通して予選落ちしないっていう年もあったし、棄権とかは別にして、予選落ちっていうのはほんと2年に1回とか、そういう年もあったし、去年一昨年でもまあ5試合にも満たないぐらいのそんな感じで、ほんと土日に帰ってくるなんてことは考えないでいつもやってたんだけどねぇ(苦笑)


(1998.10.21掲載)

偶然が重なって

 日経カップはテレビで見ててもたいへんだったね。でも、ジャンボの優勝で決まりかなっていう感じがあったけどねぇ。11番の池ポチャっていうのも信じられないし、15番のダボとか、あるいは18番のセカンドだとか、ほんとまあこういう言葉が合ってるかどうかわからないけど、ジャンボらしくないショットが多かったね。

 18番のセカンドはキャリーで20ヤードぐらいオーバーしてたよね。たぶん右からアゲンストがきてたと思うんだけど、そのアゲンストに対して戻されるっていう計算もしてただろうね。ただそれだけじゃなくて、恐らく自分の思ってたよりもいいボールが出てしまった・・・って言ったら語弊があるかなぁ。

 例えば、野球のピッチャーが力を抜いて投げた時にすごくボールが走る、スピードが出てしまうっていう時もあるだろうし、車で言えば、ながーい下り坂っていうのは坂だって感じないで平らに感じるでしょ。あれ?こんなにスピード出ちゃうっていうような感じがあると思うんだよね。アクセル踏んでる手応え、足応えっていうのかな、それから感じる速度よりも実際出ていっちゃう。

 そんなような感じで、あまりにもいい当たりが出て、いい当たりっていうのかな、要するにあまりにもいいショット、いいスイングができちゃうと、風に関係なく強いボールが出てっちゃう。でまた、特に台風の時の風っていうのは平均して吹いてなくて、強く吹いたり緩くなったりするから、そういう点で台風の時の風っていうのは非常に読みにくいんだよね。突風も混ざってるし。

 まあ台風の風じゃなくて普通の秋の風でやってれば、あんなショットは出ないと思う。秋口のやや強い風とは違って、ちょっとでも弱いボールっていうのは突風に対してとんでもなく持ってかれるから、やはり台風の突風に対して負けない球を打とうという意識もあったと思うよ。

 例えば湯原選手と一緒に回ってたブラント・ジョーブの15番ホールでも、セカンドをとんでもなく右にはずしちゃって、まぁ結果的にはパーは取れたんだけど、あのショットなんかも、やはり打ち方がちょっとしっかりとボールに入らなかったせいでとんでもなく持ってかれちゃったわけだね。

 だから自分が計算して、狙ったショットではあるんだけれど、それがあまりにもよく打てすぎた、球が強いボールが出た、そこで風が一瞬でも弱くなってしまった、そういう偶然が重なってしまったんだろうね。それでグリーンをあれだけオーバーしてしまったということだろうね。


(1998.10.22掲載)

一石二鳥のトレーニング

 たまには技術的な話を1つ。最近よく話題になってるバット振り、バットの素振りの話をしよう。バットの素振りっていうのは、僕はもうけっこう歴史が古くて、25歳ぐらいの時から振ってるんだ。25歳の時はけっこう本格的に振って、一冬、毎日2時間ぐらいかなぁ、振ってたのが。もちろん休み休みだけどね。

 で、最近またバットスイング、バットの素振りっていうのが注目されてるよね。ジャンボが今年の全米オープンの後に体力の衰えとか感じてバットを振ってるとかね。まあジャンボなんかは、高校野球とかそういう歴史もあるわけだし、プロ野球もあるわけだし、バット振るなんていうのは職人っていうかプロだよね。振ることに関しては。

 でもやっぱりそのバットを振るということによって筋力もつくし、スイングの捻転に必要な柔軟性とかもつくし、一石二鳥でついてくるんだね。

 ただし振る時に気を付けないといけないことがいくつかあるんだ。それはバット持って素振りをする時に、これはまず第一に、物に当たらない、人に当たらないっていうところでやらなきゃいけない(苦笑) まじめな話で、これは意外と忘れがちだから気を付けたほうがいい。バットの素振りっていうのはある意味では危険だから、それなりの空間を選ぶってことね。

 それからもう1つは振り方を気を付けなきゃいけない。それは手首に負担をかけないということ。要するに、リストでブンブン振るんじゃなくて、どちらかというとノーコックで、大きな広角打法、要するに大きな面を描くような感じで、自分の体を十分ゆっくり大きく振るようにする。

 スピードっていうのはだんだんだんだん乗ってくる。だから最初からブンブンブンブン振ろうっていうんじゃなくて、初めはゆっくりゆっくり、蒸気機関車がゆっくり坂道を上っていくようなイメージで、ゆっくりゆっくり振ってくのがいいね。


(1998.10.23掲載)

まず最初は体になじませる

 バットでの素振りでは特に、バックスイングのトップを作った段階で、そこからヘッドを落とさないようにする。その決めたトップのヘッドの位置からインパクトの、要するに左膝の前方上のところに直線的にぐっと持ってくる。

 要するにリストを使ってぐにゃっと振るんじゃなくて、大きく固めておいたバックスイングのバットのトップのてっぺんをゆっくり、その左膝のヒッティングポイントのところにずっとレベルで持ってくる。ややダウンスイングのほうがいいね。そしてアッパーよりもゆっくり振り切る。

 その時に右手で持っていたら、右肩とか肩胛骨周りの筋肉っていうのが伸ばされる。だからこれで最初にブン!と振っちゃうと、このあたりの筋肉を痛める可能性がある。だからゆっくり振るっていうのは、筋肉や関節を保護する意味で、ゆっくり振らないと逆にケガをしますよってことなんだ。

 そして自分の体がバットを振ることに慣れてくると、体がもっとスピードを出したいっていうふうに自然になるし、そしてまた自然にスピードが出るようになる。

 これを10本振って一休み、10本振って一休み、10本振って一休み・・・そういう感じに何回か、そうだね5、6セット。5回やれば50本振るわけだね。6回やれば60本振れるわけだよね。これを1日のトレーニングの中で、朝とか昼とか夕方にそういうものを織りまぜてやってくんだ。

 何度も書くけど、決していきなり早くやってもいけないし、いきなりブンブン力を入れてもいけない。自分の体に、とにかくまず最初はなじませる。そういう振り方をするとどんどんどんどん自分の筋肉っていうのが丈夫になってくる。


(1998.10.24掲載)

間違いなく20ヤード伸びる

 野球のバットっていうのはわりと重たいんだよね。だから振られていく。よく言えば筋肉とか関節とか伸ばされてく。悪くするとそれはケガの元になるから気を付けたほうがいい。

 バットの重さとしてはいろいろあるけど、だいたいいつも僕が振ってるやつっていうのが、930〜950グラムぐらい。いちばん重たいやつで960グラムぐらいかな。でだいたいシーズン中の遠征には920〜930グラムのやつを持っていくんだけどね。まあでも一般の人だったら800グラム台、850グラムを切るぐらいがいいんじゃないかな。

 軟式バットの重めでも十分だね。ただ力のある人っていうのは、硬式バットの軽めぐらいをゆっくり振るっていうのがいいかも知れない。意外とこれは効果があるよ。

 筋肉を作るというよりも、考え方としてはまず筋肉をやわらかくするっていうイメージで振ったほうがいいね。要するにやらかくっていうのはぐにゃぐにゃ使うんじゃなくて伸ばすっていうこと。ゆっくりゆっくり伸ばす。

 次にその筋肉を少しずつ少しずつ強くしていく。そして最終的には強くやらかくなった筋肉を今度は、それにスピードをつけてあげる。そういうようなイメージを持ったほうがいいね。だからそのスピードに行くまでには相当な時間がかかる。だいたい一般の人でも1カ月はかかるかな。でもこれで、間違いなく20ヤード伸びるよ。ヘタにクラブを買い替えるよりもそのほうがずっといい。

 有名な言葉なんだけど、アメリカの大リーグのトレーナーが言うんだよね。選手のほとんど80%は技術的な物からスランプになるんじゃなくて肉体的な物からスランプになると。要するにコンディションを維持できない。だからその打ち方のほうに迷いがいってしまう。そうじゃないんだと。体をとにかく作りなさい、コンディションを整えなさい、ということをトレーナーは言ってるけどね。


(1998.10.25掲載)

秋の試合と海外の試合

 日本は秋の試合の成り立ちっていうのは、アメリカのツアーが一段落して日本に来れるという状況の中で、海外の選手にたくさん来てもらって、日本のツアーをよりよいツアーにするために、そこに大試合を持ってきてる。

 だからそういう生い立ちがありながら、日本選手を海外の、例えばダンヒルカップに有力選手を出さないとか、ワールドカップに出さないとか言ったって、それはこないだも書いたけど無理だよね。それをまたとやかく言うっていうのは、ほんとにゴルフの知識を持った人が言う言葉なのかなぁっていうふうに疑わざるを得ないね。やっぱり変だよね。

 じゃあそれだけ言うんだったら、海外のワールドマッチプレーなり、あるいはダンヒルカップっていうものを、なんでもっと暖かいシーズンに彼らはしないんですかと。じゃあ8月に7月に6月に、あるいは5月にやったらどうなんですか。そうしたら出場しないってわかってる。

 やっぱりメジャー中心に考えていくわけだよね。メジャー中心に考えていって、日本のツアーが11月から12月、11月が特にメインだから、そうなってくると、アメリカが一段落した後の10月にワールドマッチプレーとかダンヒルカップを持ってくれば、まあひと昔前ジャパンマネーと呼ばれてたけど、そのジャパンマネーで呼ばれた有力選手が日本に行かない前の月に、しかもアメリカツアー、ヨーロッパツアーが一段落した時期にそういう試合を持ってくるっていうふうになっちゃうよね。そうなると10月しかないわけだね。

 ところが日本はその頃から、さあ日本オープンだ、なんだかんだってやっぱり凄い試合が入ってくるわけだから、その時期に、時差ボケも含めて飛行機で移動っていうのは、みんなが考えてるよりつらいんだよ。場所によっては約20何時間も乗っていくわけなんだから、その往復で約47、8時間も飛行機乗るわけだ。約40時間以上旅行して、それで帰ってきてすぐ大試合やれって言ったって、それは人間の体無理だって。

 それを無理なのをわかってて、日本の選手は海外に挑戦しないとか、あるいはその国別の対抗戦に有力選手を出さないって言ったって、それは変だよね、やっぱり。


(1998.10.26掲載)

説明しようがないね(苦笑)

 ブリヂストンの最終日の報告を書きましょう。1番はフェアウェイ真ん中に打って、セカンドが7番アイアンでピン手前10メートルぐらいで、これを入れてバーディだったんだ。で2番はドッグレッグをカットして、積極的にいった。でも最後の松に引っかかって、まあ抜けきれないでラフだったんだけど、そこからグリーン左エッジのラフまで持ってって、アプローチがカップに入りそうな、イーグル取れそうな感じで1メートルちょっとオーバー。1メートル20ぐらいかな。それを外してパー。

 でその次のホール、ティーショットがちょっとラフに行って、セカンドがグリーンをちょっとオーバーしたんだ。でもチップイン狙えるぐらいのイメージだったんだけど、それがそうねぇ、2メートル近くオーバーしたのかな。で外してボギー

 4番はフェアウェイ真ん中に打って、セカンド8番アイアンで、1ピンぐらいだねぇ。で外してパー。でその次のホールがショートホール。アイアンショットがあんまりまだよくないっていう感じで、グリーンを外して、アプローチで70センチぐらいに寄せたんだけど、これを外してボギー

 で6番のティーショットがちょっとしたラフで、セカンドをPSで左6メートルぐらいかな。これを入れてバーディ。で7番パー、8番パー、9番パー、10番フェアウェイど真ん中に打って、セカンド8アイアンで打ってピン2メートル。入れてバーディ

 11番もフェアウェイど真ん中。もうグリーンまで40ヤードぐらい。そこから・・・これ説明しようがないね(苦笑)

 そのフェアウェイ真ん中、気持ちダウンヒルの前下がりなんだ。でアイアンがよくないって言ってたよね。ダフりが多いし。ダフりが多いっていうことはトップも怖いわけだね。でやっぱりちょっと逃げたっていうか、手が縮んだっていうか。

 でピンの右側がすごく下ってるんだけど、そこを下ってっちゃって・・・ピンまでほんと40〜50ヤードぐらいしかなかったんだ。でもそこからするするっと右にすべっていって、そこから崖下のバンカーに入って、ボギー。うーん、続きは明日にします。


(1998.10.27掲載)

外して、外して、外して……

 えーと、12番からだね。12番はショートホールで、7番アイアンで打った。でもいまアイアンは、ダフりか先っぽか、トップしか出ないんだ。でそのショットは先っぽで右のバンカー。7番アイアンで打つショートホールがだよ(苦笑) 右のバンカーからのバンカーショットは80センチぐらいについたけど、それを外してボギー

 で13番、14番パーパーでいって、15番。スプーンで打って、セカンド9番アイアン、ピンの左に2メートルないぐらいについて、外してパー。次のロング、ドライバー・スプーンで打って、スプーンをちょっとミスして、グリーン右手前のバンカーのさらに手前のラフ。でそこからアプローチで2メートル、それを外してパー

 17番は2アイアンで打って右のカラー。で8番アイアンで打って、でこれがまたアプローチがノー感だったね。で残り2メートルぐらいを外してボギー。18番はドライバー・スプーンで打った。まあ、スプーンで届かない距離だったけど、サブグリーンのほうへ行って、サブグリーンからPSで・・・そうだねぇ、2メートルないぐらいかな。ちょうどピンの真左2メートルぐらい。でまたこれを外してパー。もうこういう感じだったねぇ。

 まあ最終日で言うと、フェアウェイにドライバーが打てるようになってきたというのが朗報なんだけど、相変わらずアイアンがダフってるね。もうとにかく自分の感覚っていうのか、要するに振っていて、これでダフってないっていうフィーリングで打っていってもダフるわけだ。だからそこをなんとかしなきゃいけない。

 例えて言うと、車庫入れで車を車庫に入れようとするよね。自分の感覚では絶対にこれはぶつかるはずがないと思うのに、いつも角をゴンッとぶつけちゃう。あれ?何回やっても絶対にOKのはずなのにと。もうそのぐらいの感じだね。

 ほんといろいろ考えて、いろいろ練習して、それこそ土曜日もスタート早かったから、ラウンドして、終わってから練習して、で練正館に帰ってからまた練習してっていう感じで練習づけなんだけどね。で、これだ!っていう方法を見つけて、明日これやってみよう!と思って行くんだ。で少しは効果があるんだけど、決定的な効果じゃないんだ。だからもう非常にこう歯がゆいんだよね。なんとかなるとは思うんだけどね。

 それより、とにもかくにもアプローチとかパットの、要するにフィーリングっていうのかなぁ。ほんとにチップインまでありそうなアプローチを寄せるのが精一杯。ヘタしたら寄らないっていうようなのをなんとかしないとね。


(1998.10.28掲載)

待っててね

 千葉で試合をやると、あるお父さんが子供を連れてくるんだ。最初は小っちゃな子だったんだ。まだ生まれてすぐって感じで、赤ちゃんって呼んだほうがいいぐらいの小っちゃな子で、そうね、子供の入口ぐらいだったのかな。

 その子が大きな声で、ロープの外から、「中島プロがんばってぇ〜〜」って声援してくれてたんだ。最初のうちは、中島プロがどこにいるのかわからないような顔してたんだよね。お父さんが、ほらあそこにいるよって指差してくれて、でその子が僕のほう見て手を振ってくれて、中島プロがんばってぇって、あぁがんばるよぉ、って感じでね。

 その子がいつのまにか、もう幼稚園の年長か、もうそろそろ小学生かっていうぐらいになったんだ。いつも来てくれる時は、紙にね、中島プロがんばってって書いて持ってくるんだ。でその子が今回も最終日に応援に来てくれたんだ。ゴルフのファンっていうのもほんとに捨てたもんじゃないね。ありがたいね。

 その子がまた来てくれてるのを9番で見つけた。で10番ホールでバーディだ。よし! でニコって笑って、11番のティーショット打ってすっごいいい当たりだ。もうグリーンまですぐそばなんだ。でティーグラウンド降りて、フェアウェイに行く途中その子と顔があったわけだ。おっ、ずいぶん大きくなったねぇなんて感じでね。

 でそこから一昨日も書いたけど、とんでもないショットでバンカーだわ。常識じゃ考えられないような。それこそアメリカから帰ってきた人間が日本に帰ってきて車運転して、左側走ってる時に感じるような、なんだよこれって感じ。でその次のホールもボギーだ。

 でもその子はずーと応援してくれたわ。で15番のティーグラウンドでまたその子と目があった。ニコってお互い笑って・・・あんな小っちゃな子供でもほんと目で話ができるっていうか。がんばってね、がんばるよっていう感じだったんだよ。

 で終わって、クラブハウスに戻る時に、その子の頭なでてね、待っててねっていう言葉を言ってクラブハウスに戻ったんだけどさ、その待っててねっていう言葉が、その小さな声援に対しての僕のほんとの気持ちなんだね。


(1998.10.29掲載)

見ててつらかったね

 ブリヂストンオープン健夫選手の話を書こう。まあテレビ中継があったところで言うと16番とか、決定的チャンスだったよね。彼はそこでバーディを取って14アンダーになれば勝てると思ったんだよ。そうすれば18番まで2ストローク差でこれるからね。

 17番ではバーディはそう簡単には考えられないから、16番でバーディを取っておけば、17番パーで2打差で最終ホールへ来れる。そうしたら、相手がイーグルでも取らない限り負けはないという考えがあるわけだ。

 だからどれだけあのアプローチが大切で、どれだけあのパットが大切だったか、彼は150%知ってるわけだね。だからこそアプローチもつっこみきれなかったし、パットも打てなかったわけだ。

 テレビ解説者が、気が抜けたというか、体がふわっと浮いちゃったというか、要するにはっきりとしたことを言ってないけど、結局ある意味ではしびれだね。でも彼だって何十勝もしてる選手だよね。その選手が優勝の山を、ポイントをわからないわけがないんだ。しかもそのプレッシャーを経験してきてるんだから、なんとかできる方法も知ってる。

 でもそれすらも受け付けない体になってくるのが40歳を越えてなんだ。15番の彼のバーディパットを見てればわかるけど、長尺を使ってても左手が震えてるんだ。だから何回も書くけど、左手に問題がきてる人っていうのはたいへんなんだよ。

 ジャンボが東京倶楽部での日本オープンで仕切り直しをした。手がしびれてる。要するに1つのイップスだよね。これも何回も書くけど、彼は右手を振ったんだよ。右手を2回ほどこう振ってるんだ。左手じゃないんだよね。左手にきてる人はたいへんな問題なんだよ。

 でも健夫選手、明るいよ。いろんな話も今年知ってるけど、明るいさ、そりゃ。そんな苦労話を人に話したって、そんなのグチになるだけだし、言わないよね。でも彼がどれだけのことを、十字架を背負ってやってるか。だからもう、見ててつらかったね。


(1998.10.30掲載)

なぜスプーンを持ったのか

 健夫選手としては、普通に飛ばしたい、普通にグリーンに近づけたい、普通にピンに近づけたい、じゃないとパットに活路がないんだね。だからジャンボが言ったよね、なんで健夫はスプーン持つのかなって。18番の時に言ってた。そんなの当たり前じゃん。グリーンの少しでもそばに行って、少しでも近づけて、バーディチャンスにつけたいんだから。そうじゃないとパーすら危ないんだから。

 あのホールはジャンボや健夫でさえもスプーンを持たなければいけないロングホールなんだ。100%中95%の選手は刻むわけだよ。みんながみんな刻むから、池の手前っていうのはテレビじゃわからないけどディボットだらけなんだ。

 あれでもし健夫が刻んでだよ、ジェットが刻んだとしてそのディボットに入らないっていう保証はない。ひょっとしたら打ちにくいところにいっちゃうかも知れない。だったらラフのほうが打ちやすい。

 グリーンの左の杉を狙って打っていけば、少なくともグリーン左のラフに行くから、そしたら打ちやすい。ラフだったらたとえもぐってても、左だったら右のピンの位置に対してグリーンのエッジから長く使える。そういう計算があるからスプーンを持ったんだね。

 でも、これがパッティング上手な選手だったら、あんなもの刻むわけだ。ディボットに入るなんてことは考えない。そんなマイナス思考はないんだよね。だからもし、これが、先週優勝してたり、あるいは今季何勝かしてる、そういう余裕のある選手だったら刻むよ。まあ健夫選手だったら9番ぐらいでとんと打って、残り100ヤードぐらいからのアプローチになるだろうね。

 そしてその刻んだっていうことは、お前バーディ取れるもんなら取ってみろ、そしたらプレーオフしてやる、左の木に当たって刻んだそこから、バーディ取ったらプレーオフぐらいしてあげるから、取るなら取ってこいと、佐藤選手に対してそういうプレッシャーを与えることにもなるんだね。


(1998.10.31掲載)

勝負のあや

 佐藤選手にとっては、おっ敵はもうパーで勝てるっていうふうに考えてるのか、パーでほとんどもう勝つんだと、じゃあ俺はバーディ取らないといけないんだ、という状況に陥るよね。

 ところが健夫選手がスプーンを持って、打って、グリーン左のラフまで行った。っていうことは、まだ自分がバーディを取るということを心配している、バーディを取る、佐藤信人本人がバーディを取るということを彼は考えているということになるわけだ。

 ところがもし、ジェットが刻んだとしたら、バーディを取ってみろということになるわけだね。要するに受ける側だよ。対等じゃないわけだ。もちろんそんなことは健夫も百も承知なんだよ。でも一歩でも近づきたいんだ。だからスプーンで打っちゃったんだ。

 で結果的にそれが佐藤に対して、自分がバーディを取るということを向こうは考えている、っていうことは逆に言うと、自分がバーディを取ることができるっていうふうに思えるわけだね。少しでもそのパーセンテージが増えてきちゃう。だからあそこに勝負のあやがあったんだね。

 でもそれも、とにもかくにもあの16番のアプローチであり、パットであり、それが決まっていればなんてことない優勝だったんだよね。それができないから苦労しちゃう。なぜできないか? なぜできないかって、動かないんだから、手が。1メートルのパットだって、入るかどうか不安でしょうがないんだ。

 1メートルのパットなんて入らないとおかしい。いや、2メートルのパットだって入らなきゃおかしいと思うんだ、プロゴルファーだったら。でも2メートルっていうのは十分外れる距離でもあるんだ。でも入らなければいけないんだ。

 そういうふうに思えば思うほど、動かなくなる。ましてそのパットが勝負を決める大事なパットになればなるほど、出なくていいものが出てしまうんだね。