16.年賀状(1997)



牛はモチーフとして非常に難しい。リアルな牛を描くことはそれほど難しいことではないのだが、日本人には某石鹸会社のマークがインプリントされているため、たとえ違う構図であってもそのようなイメージをされてしまう。そこで今回は“ポップに”というテーマで挑んだ。

当初はピカソの『泣く女』風にキュビズムを取り入れたのだが、どうしても複雑な図案になってしまうことと、牛の原型をとどめなくなってしまったことから、それを基本として必要最小限度のパーツのみを取り出し、さらにマーカーによる手描き風の暖かさを演出した。

最終的に右の角から鼻先にかけての斜めの線が強調されすぎて、目が左下に流れていってしまうようになってしまったのは、配色のミス。プリントゴッコの赤は、やはり年賀状用途が多いためか、かなり朱色っぽくあざやかなので使い方を間違えるとこのようなミスが起こる。

一晩でちゃっちゃとデザインしたわりには、周り(特に妻の親戚)の評判がよく、時間とできばえは比例しないと思うのと同時に、少し複雑な心境だった。


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